「なにがし」と「それがし」の違いとは?分かりやすく解釈

「なにがし」と「それがし」の違い言葉・カタカナ語・言語

古めかしい感じがする言葉として「なにがし」「それがし」がありますが、このふたつの言葉にはどのような意味の違いがあるのでしょうか。

今回は、「なにがし」「それがし」の違いについて解説します。

「なにがし」とは?

「なにがし」とは?

「なにがし」とは、「内容を明示せずに使われる代名詞」です。

「なにがし」という言葉が使われるのは「具体的な内容を明らかにしないままぼんやりと指し示すとき」です。

具体的な個人名や地名、数や量などをはっきりと知らせないまま説明したり注文したりすると気に使われる言葉であり「どこかの誰か」「何らかのもの」といったような意味合いをもちます。

はっきりと特定しないだれでも当てはまるような言い方が必要な機会は少なくありません。

多くの人に当てはまる説明文や例文などでは具体的に個人を特定しないほうが意味を伝えやすくなります。

そのような場面で用いられる代名詞が「なにがし」であり、具体的に当てはまる内容は受け取る人が自由に想像して構いません。

物事をはっきり表現すると不都合がある場合にも「なにがし」という言葉が用いられます。

具体的に言うとはばかられること、例えば謝礼の内容などははっきりと口に出してしまうと強欲であると思われることから婉曲的な表現が求められます。

そのような口に出しづらい内容を表すときに「なにがし」を用いると間接的な表現となり印象が和らぎます。

「なにがし」の使い方

・『ただ働きするつもりはないので、なにがしかの報酬がなければやるつもりはない』
・『どこのなにがしとも分からない人間に口を出される筋合いはない』
・『どこまでが自分の土地か見分けが付くようになにがしかの目印を置いておく必要がある』
・『山田なにがしと名乗っていたがよく覚えていない』

「それがし」とは?

「それがし」とは?

「それがし」とは、「正式名称の分からない対象に対して用いられる指示代名詞」もしくは「自分を指す一人称」というふたつの意味を持つ言葉です。

前者は「それ」と同じような意味合いです。

はっきりとした名前がわからないものを指し示すときに用いる指示代名詞であり「そこにいる奴」「そこのあれ」といった特定の対象に対して使われる言葉です。

名前がはっきりとわかっていない場合に使われる表現ですが名前をはっきり口にすると不都合があると気にも用いられます。

後者の意味合いは「私」を指します。

「俺」「僕」などと同じように自分のことを意味する一人称ですが古めかしい言い方であり時代劇などで使われることはありますが現代で日常的に使用する人はほとんどいません。

「それがし」の使い方

・『鈴木それがしとかいう人が訪ねてきたそうだ』
・『そんな簡単な仕事はそれがしにやらせておけばいい』
・『それがしに勝てたら弟子にしてやる、と言われた』
・『それがしの知識では到底理解が追いつかない』

「なにがし」と「それがし」の違い

「なにがし」と「それがし」の違い

「なにがし」が特定しないどこかの誰かや何かを意味するのに対し、「それがし」はある程度特定された対象に対して用いられる言葉です。

だれにでも当てはまるのが「なにがし」、当てはまる対象が限られているのが「それがし」という違いで区別されます。

どちらもはっきりと明示しない婉曲表現としても使われるほか、「それがし」は一人称として使えますが「なにがし」は一人称では使えません。

まとめ

まとめ

「なにがし」「それがし」はどちらも古い言い回しであり現代の日常会話で使われることはほとんどありません。

わざと持って回った言い方をするときなどに使われる表現であり耳にする機会は少ないのですが、難しい言葉ではないので意味を知っておきましょう。