「尊い」と「貴い」には、どのような意味の違いがあり、そして、どのように使い分ければ良いのか。
この記事では、「尊い」と「貴い」の違いを分かりやすく説明していきます。
「尊い」とは?
「尊い」の「尊」は、「尊敬」や「尊重」、「尊大」、「自尊心」などといった言葉に用いられる漢字です。
この漢字字体に、とうとい、といった意味があり、また、敬意を表すために添える言葉といった意味もあります。
このような意味を持つ「尊」を用いた「尊い」には、尊敬する気持ち、その人やものを大切に思う気持ち、といった意味があり、これらは、自発的に生まれるものとなります。
第三者から、「そう思いなさい」と言われ思うのではなく、心の底から自発的に尊敬する、大切に思う気持ちです。
言い換えれば、「崇高」や「尊敬」などと同じで、対義語は「卑しい」です。
「尊い」の使い方
「尊い」は、「尊い教え」などといった形で用います。
「貴い」とは?
「貴い」の「貴」は、「貴族」や「高貴」、「貴殿」、「貴人」などといった言葉に用いられる漢字です。
この漢字字体に、身分や価値が高い、といった意味があります。
このような意味を持つ「貴」を用いた「貴い」には、相手の地位が高いこと、ものの価値が高いこと、といった意味があります。
一般的に見て価値があるものや地位が高いものなどに対し用いられます。
言い換えれば、「気高い」や「高貴」、「上流階級」などと同じで、対義語は「賤しい」です。
「貴い」の使い方
「貴い」は、「貴い身分」などといった形で用います。
「尊い」と「貴い」の違い
相手のことを尊敬する気持ち、その人やものを大切に思う気持ちを「尊い」と言います。
そして、相手の身分やものの価値が高いことを「貴い」と言います。
このような違いがあるため、同じ読み方でも同じ意味として用いることはできません。
また、「尊い」は、自発的に起こる感情に対し、「貴い」は、世間一般から見て、そのように思われるものといった違いもあります。
この点も大きな違いです。
「尊い」の例文
・『私にとって、妻と子供は尊い存在です』
・『困った時、悩んでいる時などに相談にのってくれる地元の友達は、尊い存在です』
・『恩師からたくさんの尊い教えを頂きました』
・『平和の尊さを子供たちに伝えていきたいと思っています』
「貴い」の例文
・『今回、この場所で貴い体験をさせて頂きました』
・『天然資源は、とても貴い資源と言え、大切に使用する必要があります』
・『この資料館には、たくさんの貴い資料が保管されています』
・『貴い身分の人は生まれた時から、貴い身分の人が多い』
まとめ
以上のような違いを踏まえ、どちらが適しているのか考え使い分ける必要があります。
尊敬に値するような人なのか。
心から大切に思える人なのか。
それとも、身分が高い人なのか。
価値のあるものなのか。
といったことにポイントを置くことで、どちらが適しているかわかります。