論文などの長い文章に付帯する短い文章として「概要」と「緒言」があります。
このふたつはどのような違いで区別されているのでしょうか。
今回は、「概要」と「緒言」の違いについてい解説します。
「概要」とは?
「概要」とは、「物事のおおまかな流れや内容」を意味する言葉です。
物事が大きくなるほど全容をつかむのが難しくなります。
長い文章や長時間の映画などは全部目を通すだけでも時間がかかり苦労しますが、そのような「全容をつかむのが容易ではない物事の理解を助けるために用意される要点をまとめたもの」を「概要」といいます。
「概要」の「概」は「おおよそ」という意味がある言葉です。
大雑把に計算することを「概算」といいますが「概」という字は細かな違いやズレにはこだわらず全体としてざっくりとしていることを表す表現です。
「概要」の「要」は「要点」や「重要」など「物事の肝心な部分」を意味します。
「概要」とは「重要な部分のおおよそ」を指し具体的には「全容を知るために押さえておくべき流れやポイントなどをまとめたもの」です。
「概要」を見れば全てを確認しなくてもだいたいのことがわかります。
本格的に取り組む前に大づかみで知っておく際に用いられるほか、詳しい内容まで知る必要がない場合は「概要」のみで理解を済ませることもあります。
「概要」の使い方
・『内容を理解するために概要を参考にする』
・『とりあえず概要さえ理解できればいい』
・『概要をよく呼んでから本文を読むことにしている』
・『分かりやすく概要をまとめられるのは一種の才能だ』
「緒言」とは?
「緒言」とは、「本文に先立って書かれるまえがき」を意味する言葉です。
論文や評論など意見をまとめた文章には本題に入る前に何をテーマにしているのか、どのような角度で考察したのかなどが書かれた文章がつけられることがあります。
「本文への導入部として機能するまえがき」が「緒言」です。
「緒言」は「イントロダクション」に当たるもので直接的な内容は書かれていませんが文章全体を理解するために大きな役割を果たします。
一般的には研究論文で多く見られ「研究の目的や背景、方針や具体的な方法など「研究結果や研究内容そのものではなく研究を理解するのに必要な関連情報をまとめたもの」が「緒言」です。
研究は客観的な視点で書かれますが「緒言」には研究者の想いや目的などダイレクトな感情が込められています。
最も独自性が出る部分でもあり文章の理解に大きな役割を果たします。
「緒言」の使い方
・『緒言は簡潔にまとめられている』
・『緒言を読まないと研究の理解がはかどらない』
・『緒言からは研究にかける熱い思いが伝わってくる』
・『本文への導入として緒言のもつい見は大きい』
「概要」と「緒言」の違い
「概要」が全体をおおまかにまとめたものであるのに対し「緒言」は全体を説明するものでないようには直接ふれていないという違いがあります。
初めから終わりまでのうち全体がわかるよう抜き出したものが「概要」、始めから終わりまでを理解するための導入部が「緒言」と区別されます。
まとめ
「概要」と「緒言」は同じように見えますが目的も意味合いもまったく異なります。
役割や目的を確かめてどちらの言葉を使えばいいのか判断してください。