「ジェンダー」と「バイアス」はどちらも外来語の一部ですが、意味が異なるため区別して認識する必要があります。
この記事では、「ジェンダー」と「バイアス」の違いを分かりやすく説明していきます。
「ジェンダー」とは?
「ジェンダー」は英語の“gender”が元になった言葉で、「社会的または文化的な性差」を意味します。
男女の生物学的な性差とは別に設定された概念のことで、「男らしさ」や「女らしさ」といった言い方で表現されることもあります。
「バイアス」とは?
「バイアス」は英語の“bias”が元になった外来語で、「偏向」や「偏見」、「先入観」などの意味があるほか、統計調査などにおける「データに偏りをもたらす要因」という意味も含んでいます。
また、心理学の分野では人間の認知などに潜む恣意的な傾向のことを「認知バイアス」と読んでいます。
「ジェンダー」と「バイアス」の違い
「ジェンダー」と「バイアス」は双方とも海外から導入された言葉ですが、それぞれが持つ意味に大きな違いがあります。
「ジェンダー」は「社会的あるいは文化的な性差」を意味し、生まれ持った肉体的な性差ではなく社会や文化の中で作られてきた男女の差に対して用いられる言葉です。
一方、「バイアス」は「偏見」や「先入観」を指し、考え方や判断などにおける偏った思い込みという意味で使用されています。
なお、現在では両者を組み合わせた「ジェンダーバイアス」という言葉もあり、「社会的あるいは文化的な性差における偏見や差別」、「相手の性別によって何らかの先入観を持つこと」といった意味で用いられています。
「ジェンダー」の例文
「ジェンダー」は「社会的または文化的に共有されている性差」のことを指し、生物学的な男女の性差とは異なる「男らしさ」や「女らしさ」の概念を意味します。
「ジェンダーに縛られない」や「ジェンダー論」などの使い方があるほか、「ジェンダーに囚われず個性や能力を活かして自由に生活できること」という考えを指す「ジェンダーフリー」や、「男女の区別を除去すること」を指す「ジェンダーレス」といった言葉も知られています。
・『子どもに対しては、ジェンダーに縛られず自分の個性に合った生き方をしてほしいと願っている』
・『ジェンダー論の授業で、スポーツにおけるジェンダーがテーマになった』
・『ジェンダーフリーが進んだのか、昔は男性が演じることが多かった刑事や裁判官などの役を女性が演じる機会が増えた』
・『女性らしい服を身につける男性のことをジェンダーレス男子と呼ぶらしい』
「バイアス」の例文
「バイアス」には「偏向」や「先入観」、「偏見」などの意味合いがあり、「バイアスがかかる」や「バイアスをかける」といった用法があります。
・『アラフォーでの転職が難しいのは、年齢や職歴にバイアスがかかっているからではないか』
・『その栄養補助食品は味が悪いが、大手食品メーカーの製品であるというバイアスがかかっているせいか買い続けてしまう』
・『アンケートや調査ではバイアスをかけるような質問は控えるべきだ』
・『バイアスをかけられている情報を見極めるのは難しい』
まとめ
「ジェンダー」と「バイアス」は外来語であるという点は共通していますが、意味が大きく違うため使用する際は注意が必要です。
両者の正しい意味や使い方を知って、場面に応じて適切に使い分けましょう。
ぜひボキャブラリーを増やす参考にしてください。