河川の周辺にあるものを指す言葉として「土手」と「河川敷」があります。
このふたつは具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「土手」と「河川敷」の違いについて関連します。
「土手」とは?
「土手」とは、「水害対策のために川岸に土を持って作られる堤」を意味する言葉です。
川が増水してあふれると周辺地域は甚大な被害に見舞われます。
水害を防ぐための方法として古くから用いられているのが壁を河川の周囲に築き増水してもあふれないようにする手法です。
水害対策のために築かれる壁にはいろいろな種類があり総称して「堤」もしくは「堤防」といいます。
そのような水害を防ぐ堤の中でも「土を盛り固めて作られる水害対策用の壁」が「土手」です。
「土手」は堤の中でも最も原始的で古くから存在するものです。
川沿いに土を盛り固めて一段高くしておくことで増水時にも水があふれることなく水害を防ぎます。
構造がシンプルで材料にもありふれた土が用いられていることから建設コストが安く、水害対策用としては最も基本的な堤です。
「土手」は土を盛るだけでなくしっかり固めておくことが重要です。
施工時に突き固めるだけでなく日常的にも強度確保のために踏み固められるのが望ましいことから上部を遊歩道にすることで人を誘導し自然に踏み固められるよう作られています。
より強度を高めるために植物を植えて根付かせて補強したり植えた植物が咲かせる花を目当てに集まる多くの人によりさらに踏み固められたりなど、ただ土を山にするだけでなく防護壁としての強度確保のために工夫が施されています。
「土手」の使い方
・『川沿いの土手の上を歩く』
・『大雨で増水したが土手のおかげで洪水は防がれた』
・『土手がなければ大きな被害が出ていたかもしれない』
・『土手の斜面を駆け下りる』
「河川敷」とは?
「河川敷」とは、「河川沿いに作られた平地」を意味する言葉です。
「河川敷」は「河川法」という法律により規定されています。
河川法によると「治水工事が施された河川の堤防から対岸の堤防までの区域」が「河川敷」であると定められています。
「河川敷」の本来の目的は「水害対策」です。
河川の水量が増したとき、河川の両岸が塞がれていると一気に推移が上昇する恐れがあります。
急激な水位上昇を防ぐためにはゆとりを設ける必要がありますが、増水時のゆとりとして整備されているのが「河川敷」です。
川の水が増すと普段は平地として散歩や運動に使われている「河川敷」にまで水が侵入し堤防を越えるのを防ぎます。
あらかじめ水の浸入を想定して作られているので「河川敷」には重要な建物や水に弱い施設などは作られません。
「河川敷」の使い方
・『河川敷には野球のグラウンドがある』
・『毎朝河川敷を散歩している』
・『川の増水により河川敷が水浸しになった』
・『堤防と河川敷の工事が進められている』
「土手」と「河川敷」の違い
「土手」が河川の増水を防ぐために川岸に作られる堤防を指し「河川敷」は堤防と川の間の平地を指します。
川から「土手」までの間にある平らな土地が「河川敷」です。
増水時には「河川敷」にまで水が広がり「土手」が川岸として水をせき止めます。
まとめ
「土手」と「河川敷」はセットで築かれることが多くひとまとめにしてしまいがちですが河川沿いの中でも別の部分を指しています。
どちらも水害対策として重要な役割を果たしているので正しい意味を理解しておきましょう。