同じような意味で使われる言葉に「利用目的」と「用途」があります。
このふたつの言葉はどのような意味の違いで使いわけられているのでしょうか。
今回は、「利用目的」と「用途」の違いについて解説します。
「利用目的」とは?
「利用目的」とは、「利用することで達成しようとする事柄」を意味する言葉です。
「利用目的」の「目的」とは「ある行為の結果として目指す状況や事柄のこと」を意味します。
「道具や施設を利益のために使うこと」が「利用」なのでふたつの言葉の意味を合わせた「道具や施設を使うことによって生じる利益」が「利用目的」の本来の意味になります。
一般的に「利用目的」という言葉が使われるのは「特定の結果を成し遂げるために利用するとき」です。
何も考えずに利用するのではなく「このような結果を手に入れたい」という明確な意志がある場合の目指す結果を指す言葉が「利用目的」です。
「利用目的」は道具や施設を使うことそのものではなく使ったその先にある未来を表しています。
「利用目的」の使い方
・『施設の利用目的を尋ねる』
・『個人情報を収集するときは利用目的を明示する必要がある』
・『新たな知識の収集が図書館の利用目的である』
・『手続きの簡素化がマイナンバーの主な利用目的だ』
「用途」とは?
「用途」とは「使いみち」を意味する言葉です。
あるものをどのように使うのかは使い方次第です。
道端に転がっている石ころを握って殴れば武器になりますし紙の上に置けば文鎮のような重しとして機能します。
いくつかの石ころを地面に並べて文字や絵をかくこともできますし、日にくべて熱してから水に入れればお湯をわかす熱源として使えます。
このような「物品の使い方役立て方」を指す言葉が「用途」です。
工夫次第でいろいろな「用途」が見つかるものもあればルールで「用途」が定められているものもあります。
法律により住宅しか建てられない、工場しか建てられないなど使いみちの制限されているエリアのことを「用途地域」といいます。
「用途」の使い方
・『大きすぎて用途に困る壺をもらう』
・『十徳ナイフは十種類の用途に使えるところからその名が付けられた』
・『空き地の用途について議論が行われた』
・『用途が多すぎる道具はかえって使いにくい』
「利用目的」と「用途」の違い
「利用目的」が使った後に生じる結果を指すのに対し「用途」は使うことそのものを指すという違いがあります。
目指す事柄を意味するのが「利用目的」、目指す事柄にたどり着くための具体的な手法が「用途」という関係性が成り立ちます。
「利用目的」を尋ねるときは「何のために」ですが、「用途」を尋ねるときは「何に」となります。
直接的な使い方を質問する場合は「用途」がふさわしく、使ってやりたいことを質問する場合は「利用目的」がふさわしい表現です。
「利用目的」は利用する人に依存しますが「用途」は道具や施設など物品に依存するという違いもあります。
まとめ
「利用目的」と「用途」はとてもよく似た意味を持つ言葉です。
同じような使われ方をすることも多いのですが本来の意味合いには明確な違いがあります。
利用することそのものなのか、それともその先を指しているのかに注意して使い分けましょう。