この記事では「お願い致します」と「お願い申し上げます」の違いについて分かりやすく説明します。
「お願い致します」とは?
「お願い致します」の慣用句は、「お願い」と「致します」に分解することが出来ます。
まず、「お願い」は「相手に向かって何かして欲しいこと」を表現する言葉で、広い意味を持つ言葉ですが、一般的に使われている通りの言葉です。
また「致します」は「する」の謙譲語である「致す」に、さらに丁寧語の「ます」が付いた言葉で、「お願いする」の敬語表現となります。
また「致します」は「いたします」とひらがな表記で使われることが多く見受けられます。
漢字表記もひらがな表記も、一般的には同じ意味で使われており、間違いとは言えます。
しかし以下に説明する通り、厳密にはひらがな表記が正しいと言えます。
その理由は、「する」の謙譲語として「いたす」を使う場合には、本来の意味と独立性を失い、「願う」に付く補助動詞としての役割を果たします。
こうした用例においては、公用文では補助動詞は原則としてひらがな表記とすると、定められているからです。
ややこしい日本語のルールで難しいですが、正式な表現ではひらがな表記とする方が無難だと言えるのです。
「お願い致します」の使い方
・『企画書のご提示は、今週中にお願い致します』
・『アンケートは、今週中に回答箱に投函して下さるように、お願い致します』
・『ぜひとも万難を排してご参集のほど、お願い致します』
「お願い申し上げます」とは?
「お願い申し上げます」の慣用句は、「お願い」と「申し上げます」で構成された言葉です。
「お願い」は前項で記載した通りで、一方「申し上げます」は、「言う」の謙譲語である「申し上げる」に丁寧語の「ます」が付いた言葉で、「言わせていただきます」という意味の敬語表現です。
「お願い申し上げます」の使い方
「お願い申し上げます」は以下の例文のように使われます。
・『ご意見を賜りますよう、お願い申し上げます』
・『ご足労ですが、ご来訪のほど、お願い申し上げます』
・『若手のために、貴重な体験談をお話しいただきますよう、お願い申し上げます』
「お願い致します」と「お願い申し上げます」の違い
「お願い致します」は「お願いする」の敬語表現で、「する」の謙譲語の「致す」にさらに丁寧語の「ます」が付いた構成です。
一方の「お願い申し上げます」は、「お願いを言う」の謙譲語である「申し上げる」に丁寧語の「ます」が付いた敬語表現の言葉です。
いずれの慣用句も、敬語表現とするために、動詞を謙譲語表現とし、さらに丁寧語の「ます」を付ける構成となっている共通性があります。
元々の動詞が「する」と「言う」の違いがありますが、「お願い致します」と「お願い申し上げます」は、意味もほぼ同じで、またいずれも高い敬意を表す慣用句であり、ビジネスにおいて、目上の人や取引先に使うって問題ない表現です。
しかし、「お願い致します」は日常会話で使うことも多いため、よりビジネスライクな表現としては、「お願い申し上げます」の方がベターと言えるかも知れません。
まとめ
「お願い致します」と「お願い申し上げます」は使われている動詞が異なりますが、その動詞を謙譲語表現とし、そこに丁寧語の「ます」を付けた敬語表現です。
意味のほぼ同じですが、「お願い申し上げます」の方が、より格式ばったビジネスライクな表現と言えます。