「地鎮祭」と「安全祈願祭」はどちらも建設工事における式典を指しますが、詳細な意味合いが異なります。
この記事では、「地鎮祭」と「安全祈願祭」の違いを分かりやすく説明していきます。
「地鎮祭」とは?
「地鎮祭」は「じちんさい」と読む言葉で、「建設や土木の工事に着工する前に、その土地の神々を祭ったり土地に縁のある霊を鎮めたりすることで工事の安全な成就を祈願する儀式」を意味します。
「とこしずめの祭り」や「土祭り」などと呼ぶこともあります。
「安全祈願祭」とは?
「安全祈願祭」は「あんぜんきがんさい」と読む言葉で、「安全」を「祈願する」と書く通り「物事の安全を祈る儀式」という意味を持っています。
建設分野では主に「施工者が中心となって工事の安全や無事を祈願する儀式」の意味で使用されています。
「地鎮祭」と「安全祈願祭」の違い
「地鎮祭」と「安全祈願祭」は建設工事に関する儀式を指し、双方とも着工前に安全や無事を祈願する目的で催されますが、細かな意味合いに違いがあります。
「地鎮祭」は「その土地の神々や霊に対して失礼のないように挨拶したり、土地を利用する許可を願ったりすること」を目的とし、個人住宅もしくは一般企業の建築工事に際して開催されることが多く、大地の守護神とされる「大地主神」と土地の氏神とされる「産土大神」を祭神とします。
一方、「安全祈願祭」は「施工に関わる者の健康や安全、スムーズな工事の進行などを神仏に祈願すること」を目的とし、施工者中心に催されることが多く、「産土大神」を祭神とします。
また、「安全祈願祭」の場合は、海の安全を祈願する「海上安全祈願祭」など建設分野以外でも使用されています。
「地鎮祭」の例文
「地鎮祭」は「その土地の神々や霊を祭ったり鎮めたりすることで工事の安全な成就を祈願する儀式」を指し、「地鎮祭を開催する」や「地鎮祭の流れ」などの使われ方をしています。
・『地鎮祭は大安や先勝、友引といった縁起の良い日に開催するのが望ましいといわれている』
・『神主や建設会社と地鎮祭の流れについて打ち合わせした』
・『地鎮祭の挨拶には、参加者への感謝の意や施工者に対する労いの言葉などを含める』
「安全祈願祭」の例文
「安全祈願祭」は「施工に関わる人たちの安全や無事を祈願する儀式」のことを示し、「安全祈願祭をおこなう」や「安全祈願祭を遂行する」などの用法があります。
建設分野のほかに海運分野や漁業分野などでも使用されています。
・『来月の大安の日に安全祈願祭をおこなうことになった』
・『安全祈願祭はスケジュール通り順調に遂行され、無事閉式となった』
・『Aマリンパークにて、海の安全を祈願する海上安全祈願祭が開催された』
まとめ
「地鎮祭」と「安全祈願祭」の共通点は「工事の安全や無事を事前に祈願する」ことですが、開催する目的や祭神などに違いがあることを知っておきましょう。
ぜひ参考にして両者の正しい意味や使い方を学び、語彙力アップに役立ててください。