働いている期間を意味する言葉として「在職年数」と「勤続年数」があります。
このふたつはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「在職年数」と「勤続年数」の違いについて解説します。
「在職年数」とは?
「在職年数」とは、「その職務に就いていた年数」を意味する言葉です。
「在職年数」とは「職務に在った年数」を指します。
「特定の職務に就き仕事をこなしていた年数の合計」が「在職年数」なので基準となるのは「職務」です。
「職務」とは「仕事として割り当てられた役目や役割」を指します。
地位や役職と混同されがちですが職務という言葉が意味するのは具体的な仕事の内容であり本来は会社における階級や立場とは無関係です。
一般的には出世して立場が変わったり別部署に移動したりすると職務も変わりますが、特別なスキルや能力を有している人は長年同じ職務につき続けることもあります。
実際の会社では地位や役職が職務を兼ねているケースが多く「在職年数」という場合は「その肩書を名乗っている年数」と同義です。
「在職年数」の使い方
・『社長としての在職年数は10年になる』
・『議長の在職年数には上限が設けられている』
・『在職年数が長過ぎると停滞を招く原因になる』
・『短い在職年数では思うような仕事ができない』
「勤続年数」とは?
「勤続年数」とは、「会社に勤め続けている年数」を意味する言葉です。
「転職することなく一つの会社に勤め続けている合計年数」を「勤続年数」といいます。
一般的には「入社から退社までの合計年数」ですがまだ退社しておらず働き続けている場合は「入社から現在までの年数」が「勤続年数」となります。
「勤続年数」は退職金計算の基準として使われるため法律によって明確に定義されています。
国税庁は「勤続年数」を「原則として、退職手当等の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間の年数」と定義しています。
「勤続年数」は実働年数ではないので産休や介護休暇の期間や出向して他社で働いている期間も含みます。
正社員以外も含まれるので制式採用前の使用期間や非正規雇用で働いていた期間も「勤続年数」としてカウントします。
「勤続年数」の使い方
・『勤続年数30年を超える大ベテランに仕事を依頼する』
・『勤続年数に応じて順番に出世していく仕組みを年功序列制という』
・『勤続年数が長いのに仕事の要領は悪い』
・『勤続年数に比べて出世スピードが遅い』
「在職年数」と「勤続年数」の違い
「在職年数」が職務についていた年数を指すのに対し「勤続年数」は会社に勤めている年数を指します。
入社してから30年になる人が10年ごとに別の職務に移動していた場合「勤続年数」は30年ですがそれぞれの職務における「在職年数」は10年になります。
「勤続年数」は退職金の計算などに関わりますが「在職年数」は会社内における出世や選挙における多選の禁止などに関わります。
まとめ
「在職年数」と「勤続年数」はそれぞれ年数のカウント対象が異なります。
会社に長く勤めているからといってその職務に長くついているとは限りません。
ベテラン社員でありながらその職務では新人というケースもあるのでそれぞれの意味と違いを正しく理解しておきましょう。