「窮乏」と「困窮」は同じ漢字の「窮」を含んでいますが、それぞれが持つ意味は少し異なります。
この記事では、「窮乏」と「困窮」の違いを分かりやすく説明していきます。
「窮乏」とは?
「窮乏」【きゅうぼう】は、生活が困難になるほどひどく貧しい様子、組織が経営困難に陥るほど資金が不足する様子を指す言葉です。
「窮乏」に使われている漢字の意味を見てみると、「窮」は追いつめられて身動きできないこと、困り果てることを表し、「乏」はまずしいこと、物が足りないことを表しています。
これらの漢字を組み合わせた「窮乏」は、どうにもならないくらいに貧しく苦しい状況を示しています。
貧しさに関連する熟語には「貧乏」「貧困」「貧苦」などもありますが、「窮乏」が示す貧しさはその程度の貧しさではありません。
漢字の「窮」には「物事の程度がはなはだしい」というニュアンスがあり、「窮乏」は、物事の停滞や破綻を招くほどにひどく貧しい状況を指します。
「窮乏」の使い方
・『窮乏した財政を立て直すため、新たな政策を打ち出す』
・『内戦によって国が荒れ、人々は窮乏に陥った』
「困窮」とは?
「困窮」【こんきゅう】とは、どう対処すればよいか分からず困り果ててしまうこと、または貧しくて生活が苦しいことです。
「困窮」に使われている漢字の意味を見てみると、「困」はとまどうこと、苦しむことを意味し、「窮」は行き詰まって身動きできないことを表しています。
これらを組み合わせた「困窮」は、どうにもできず困り切ってしまう状況を指します。
「困窮」とは、物事を処理しようにも対処法がなく難航してしまう様子を指す言葉です。
実際は、どちらかというと「生活に困窮する」という意味で、貧しくて生活に困っている様子を指すときに使われることが多くなっています。
「困窮」の使い方
・『バイトで学費が稼げずに困窮している学生を支援する』
・『課題を解決する案が見つからず困窮する』
「窮乏」と「困窮」の違い
「窮乏」と「困窮」の違いを、分かりやすく解説します。
「窮乏」と「困窮」は漢字の「窮」が付くところ、貧しさに苦しむ様子を指すところが共通しています。
ただし「困窮」は貧しさ以外の意味を持っているところが「窮乏」と異なります。
「窮」は、物事の程度がはなはだしいという意味を持ち、「窮乏」は通常の程度を超えた貧しさを表し、「困窮」はすっかり困り切ってしまう状況を表します。
「窮乏」は貧しさ、「困窮」は困ることを指しているところが両者の違いです。
「困窮」は「生活が困窮する」という使い方をすることが多くなっています。
その場合は「生活に困るほど貧しい」というニュアンスが生じ「窮乏」と類語の間柄になります。
まとめ
「窮乏」はひどく貧しいこと、「困窮」は困り切ってしまうことを意味しており、互いの意味は異なります。
ただ「困窮」は貧しくて生活に困る様子も表すので、場面によっては「窮乏」とほぼ同じ意味で使うことができます。