この記事では、「各人」と「各自」の違いを分かりやすく説明していきます。
よく似た言葉の差を、はっきりつかんでいきましょう。
「各人」とは?
各人(かくじん)とは、それぞれの人のこと。
1人1人をあらわします。
めいめいの人をあらわす、便利な言い回しです。
もともと「各人」の「各」には「おのおの」という訳があります。
各国なら、おのおのの国。
各社なら、それぞれの会社です。
そのため各人で「おのおのの人」を指します。
学校の生徒を表現するなら「生徒各人」といいます。
ちなみに各人よりも丁寧な言い回しは「各位」です。
そのため取引先に対するメールでは、冒頭に「関係者各位」とあらわします。
顧客に向けては「お客様各位」です。
各人は単に「それぞれの人」の呼称なので、敬語としての意味合いはありません。
その場にふさわしい言い方も、あわせて覚えておきましょう。
「各自」とは?
各自(かくじ)とは、個々の人のこと。
集団やチームにおける、1人の人物をあらわします。
おもに上の人が下の立場の人につかう言い回しです。
各自は「各の自」と書きます。
「自」は「ひとり」を示すので、それぞれの個人を言いあらわした表現が「各自」になります。
たとえば会社の総務部から従業員に対して、指示をおこなうとき。
「健康診断の検査は、各自でお願いします」といいます。
それぞれの個人が責任をもっておこなうように、言い伝えるのが「各自」です。
大きな集団に属している、個人をあらわすのが各自となります。
「各人」と「各自」の違い
見た目は、とても良く似た表現です。
「各人」と「各自」の違いを、分かりやすく解説します。
・よく用いるのは「各自」
「各人」と「各自」はそれぞれ「めいめいの人」をあらわします。
そのため基本的な意味合いは同じになります。
各人は単純に「それぞれの人」を抽象的にあらわした用語です。
事務的な表現なので、エクセルで名簿を作っているとき、リストを埋めている場合に使います。
似た表現である各位に比べて、カジュアルな言い回しとなります。
また各自はそれぞれの人に向けた、メッセージ性の高い表現です。
個々におこなって欲しいときに「各自」を使います。
「お振りこみは、各自でお願いします」や「食材は各自でご用意ください」と使います。
各自はそれぞれの人が、責任をもって何かを成し遂げるときに使う表現です。
そのため個人の判断できっちり済ませるという意味合いがあるのは「各人」よりも「各自」となります。
ちなみに「各自」にはグループに所属する1人という「各人」にはない意味も含んでいます。
より使いやすいのは、各人よりも各自です。
まとめ
「各人」と「各自」の違いを、分かりやすくお伝えしました。
どちらも「めいめいの人」を指します。
各人は事務的に、それぞれの人を伝える抽象的な表現です。
そして「各自」は「個人単位で」という訳があります。
個人の責任でおこなって欲しい場合に用いられるのは「各自」です。
確かな差をつかんでおきましょう。