モノやお金のやりとりを指す言葉として「提供」と「支給」があります。
どちらも日常生活で使われることも多い身近な言葉ですがそれぞれが意味する内容には違いがあります。
今回は、「提供」と「支給」の違いについて解説します。
「提供」とは?
「提供」とは「無償で差し出すこと、使用してもらうために対価を要求せず引き渡すこと」を意味する言葉です。
「提供」は役立ててもらうためにモノやお金を相手に渡すときに使われます。
金銭的な見返りが発生する売買とは異なり基本的には無償で差し出す行為のみに対して用いられる表現です。
「提供」は主に相手への行為や期待、信頼などポジティブな感情に基づいて行われます。
相手の役に立ちたいという思いが動機になっているため提供者は対価を受け取らずとも差し出したものやお金を使ってもらうことそのものに喜びを感じます。
無償で支援する、というもともとの意味から転じて「スポンサーになる」という意味でも使われています。
「テレビ番組を提供する」というのはお金を出してスポンサーになることを指しており資金を提出する代わりにCMを放送するという対価が発生しています。
「提供」の使い方
・オリンピック代表に用具を提供する
・ボランティアで頑張る人達に弁当を提供する
・金銭以外の物品提供も受け付けている
・この番組はご覧の各社の提供でお送りしました
「支給」とは?
「支給」とは「(企業や役所などが属する属する者に対し)金銭や物品を払い渡すこと」を意味します。
一般的に「支給」という表現は上下関係があるときに使われます。
雇用主と労働者など上のものが下のものに対して金銭や物品を引き渡す行為が「支給」であり下から上に引き渡される場合には使われません。
「支給」の対象になるのは金銭や物品など価値のあるものです。
価値の無いものや受け取る側にとってマイナスになるものに対しては用いられません。
「支給」の使い方
・今月はたくさん働いたので高額の残業手当が支給された。
・現場作業員全員に制服と装備一式が支給される。
・育児家庭への支援を目的として育児手当が支給された。
・支給品なので耐久性は十分だがデザインはいまいちだ。
「提供」と「支給」の違い
「提供」はモノやお金が無償で引き渡されますが「支給」には残業や資格の所有など一定の条件や対価が必要なものも含まれます。
「提供」は両者の関係性を問いませんが「支給」は支給する側とされる側の間に上下関係が存在します。
また「提供」はその時限りの一時的な関係で「提供」引き渡されることもありますが「支給」は雇用関係や所属契約など強いつながりのある関係性で行われます。
特定の関係性における権利として「支給」が行われている場合は関係性が無くなった時点で支給は停止されます。
まとめ
「提供」と「支給」は似たような意味合いですが具体的に指す内容は明確に異なります。
言葉を誤用することのないようにそれぞれの細かい意味をきちんと知り正しい使い方を実践してください。