人に暴力をふるのは犯罪行為ですが、同じ暴力であっても「傷害」と「暴行」という2つに区別され異なる扱いになります。
法律でも明確に別物として扱われているのですがいったいどのような違いで区別されているのでしょうか。
今回は、「傷害」と「暴行」の違いについて解説します。
「傷害」とは?
「傷害」とは、「けがをさせること」という意味の言葉です。
健康を損なうような損傷を他人に負わせる行為が「傷害」です。
「傷つけて害する」という言葉の意味通り相手の同意を無視して傷つける行為を意味し一般的には打撲や切り傷、骨折など外部からの衝撃によって生じる外傷を指しますが薬物による健康被害など外傷以外の損傷行為も「傷害」に含まれます。
人の手によって「傷つけられる」「健康を損なう」といった事実として発生された身体的被害を指す言葉なので過程や手段などは問われません。
どのような理由、手段であろうとも身体が傷つけられたという事実が確認できれば「傷害」に当たります。
日本の法律では相手に傷を負わせるような行為を「傷害罪」と定め違法行為としています。
「傷害」の使い方
・喧嘩で相手に障害を負わせた。
・手をださければ傷害にはならないというのは間違いだ。
・心に負った傷も傷害として扱う、という考えが現在では主流になっている。
・傷害に対して保険金が下りた。
「暴行」とは?
「暴行」とは、「人に対し不当に力を行使して危害を加えること」という意味の言葉です。
「暴行」を簡単に説明するならば「暴力をふるうこと」を指します。
殴ったり蹴ったりなど相手に危害を加える目的で様々な力を行使する行為を指し、そのようなふるまいそのものを「暴行」と表現します。
「暴行」は暴力をふるうことを指す言葉なので行った主体である人物の行動を表しています。
加害者側のふるまいが膀胱であり、被害者の状態や気持ちなどとは無関係に加害側のふるまいのみで成立します。
「暴行」の使い方
・裏切り者に対して暴行を加える。
・カッとなって暴行に及ぶ。
・暴行の被害にあったので警察に相談した。
・暴行事件の犯人が逮捕された。
「傷害」と「暴行」の違い
「傷害」と「暴行」のはそれぞれ結果と手段を表す言葉という違いがあります。
具体的には「被害状況の有無」で区別されます。
「傷害」は健康被害が発生していることを表す言葉です。
被害者が骨折したり体調を崩したりなど具体的に被害が生じている様子を指しており、手段や目的とは無関係に健康被害がでているという具体的な被害状況によって成立します。
「暴行」は暴力をふるうという人の行動を表す言葉です。
加害者側が殴ったり蹴ったりなど暴力をふるえば被害状況とは無関係にその時点で成立します。
殴った時点で「暴行」が成立し、その暴行によって被害者が傷を負うと「傷害」が成立します。
日本の法律では暴力によって被害者の健康が損なわれた場合は「傷害罪」暴力はふるわれたが健康被害がない場合は「暴行罪」特別されています。
まとめ
「傷害」と「暴行」の違いは何を基準に考えるかによって生じています。
それぞれの言葉の意味をきちんと理解して正しく使ってください。