人間は某ドラマの有名に出て来る教師が言った通り、一人では生きて行けず、周りの人間と関係をもって初めて生活が出来る生き物です。
古代ギリシアの哲学者アリストテレスも人間を『社会性動物』であると定義しています。
しかし、お互いに関係を持つといっても様々な形態があります。
動物でも寄生や共生などの形はよく見られますが、人間の場合はもっと心理的に複雑です。
そんな中で『共依存』と『助け合い』という言葉を聞いたことはありませんでしょうか。
どちらもワイドショーなどで心理学者や社会学者が発言することがある単語ですが、これの違いをしっかりと理解している方は意外にも少ないのではないでしょうか。
この記事では「共依存」と「助け合い」の違いを分かりやすく説明していきます。
「共依存」とは
まず、この単語の意味ですが『特定の人間関係に依存する状態』を表す言葉です。
少し過激な言葉を使うと依存症、つまり心理学的には病気の一種として認識されています。
様々な背景はあるものの、自分の存在意義を認めてもらうとして相手との関係に強く依存することがこの『共依存』です。
例えば、お酒を飲み暴力をふるうパートナーに対して危機感を覚えるどころか『あの人には私しかいないから私が助けなければ』と逆に相手をかばったり、理由付けをして自分が暴力を振るわれている正当性を作ってしまうことが挙げられます。
これは様々な国で非常に大きな問題になっており、正常な人間関係だけでなく、金銭トラブルや犯罪、場合によってはどちらかの命が亡くなってしまうという痛ましい状況にも発展することがあります。
日本でも身近な例としてはDV以外にニートとその親の関係などが別の例として挙げられます。
ニートは経済的に親に依存し、親も子供を守れるのは自分だけといいながら、ニートの子供に依存してしまう。
この様な形で意外にも『共依存』は我々の身近なところで見かけられるものです。
「助け合い」とは
一方『助け合い』は『何かの目的達成や困難を克服する為にお互いに力を貸し合う』ことを指します。
とてもポジティブな意味をもつ言葉です。
様々な機会でこの言葉は使われているのでとても馴染みがある表現で、例えば新しいプロジェクトにチームで取り組む時にメンバーそれぞれが、自分の範囲以外の仕事や課題をフォローしながら進めていくなどがあります。
もちろん、結婚という人間関係においても『夫婦助け合いが必要だ』と言われるように、互いの短所や弱点などを補って、幸せな人生を送るという目標達成に向けて力を貸し合うことが大切になってきます。
「共依存」と「助け合い」の違い
この二つは『依存症』なのか『力を貸し合う』なのかという違いで分けることが出来ます。
または、2者間において『ネガティブな影響を与える関係』なのか『ポジティブな影響を与える関係』なのかでも違いを付けることができるのではないでしょうか。
『共依存』を『寄生』と考えるかたもいらっしゃるかもしれませんが、『寄生』はあくまでも『一方がメリットを貰い、もう一方がデメリットを受けてしまう』関係ですので、同じ意味ではありません。
あくまでも『共』という言葉が示す通り、互いに何らかの精神的なよりどころを見つけてしまい、それが悪い方向に進んでしまう関係というものが『共依存』です。
まとめ
如何でしたでしょうか。
よく使われる表現の『助け合い』と違い、『共依存』とは深刻な依存症についての言葉でした。
人間関係というのはこれ以外にも様々な形態があり、相手や自分の事を複雑に考えられる人間ならではの依存症などが存在しています。
この機会に是非これらの言葉を調べてみて、人間関係について見つめなおしてみては如何でしょうか。