この記事では、「酷い」と「惨い」の違いを分かりやすく説明していきます。
「酷い」とは?
「酷い」という言葉には、どのような意味があるでしょうか。
「酷い」は「ひどい」と読みます。
「酷い」もともと「非道(ひどう)」という言葉が形容詞化してできた言葉です。
「非道」には、「人としての在り方や、生き方から外れていること」という意味があります。
「酷い」は「残酷なこと。
むごい」という意味があります。
「残酷」には「無慈悲でむごたらしいこと」という意味があり、「無慈悲」には、「思いやりの心や、憐みの心がないこと」という意味があります。
誰かの行為に思いやりや憐みを感じられないとき、「酷い行為」と言います。
また、告白をしたときに、思いやりのない対応をされてフラれたとき、「酷いフラれ方をする」などと言います。
次に、「酷い」には「度を越している」という意味があります。
例えば、夏場とはいえ40度を超えるような高い気温は、度を越していると言えます。
そのため、「度を越した暑さだ」などと言います。
さらに「酷い」には「程度が非常に悪い」という意味があります。
映画を見たときに、あまりにも作品の程度が悪いと感じたとき、「酷い映画だ」などと言います。
「惨い」とは?
「惨い」という言葉には、どのような意味があるでしょうか。
「惨い」は「むごい」と読みます。
「惨い」は「見るに堪えないほど痛ましい。
残酷である」という意味があります。
無慈悲でむごたらしいような死に方をした人を見たとき、「惨い死に方だ」などと言います。
また、見るに堪えないような痛ましい事件を、テレビのニュースなどで見ることがあります。
このようなとき、「惨い事件が起きた」などと言います。
次に「惨い」には「思いやりがない。
無慈悲である」という意味があります。
傷ついている人の心に、塩を塗るような言葉をかける時、「惨い言葉」などと言います。
「酷い」と「惨い」の違い
「酷い」と「惨い」の違いを、分かりやすく解説します。
「酷い」は「残酷なこと。
むごい」という意味があります。
一方の「惨い」には、「見るに堪えないほど痛ましい。
残酷である」という意味があります。
このように、2つの言葉には、「残酷だ」という意味があります。
そのため、「残酷な言動」という意味の文章を作るときは、「酷い言動」でも、「惨い言動」でも、ほとんど同じ意味になります。
ただし、やや「惨い」のほうが、残酷さの程度が過ぎる印象があるかもしれません。
また「酷い」には「度を越している」という意味が含まれています。
度を越して寒い時、「酷い寒さだ」とは言いますが、「惨い寒さだ」とは言いません。
このように「酷い」には「度を越している」という意味があり、「惨い」にはそのような意味がないという違いがあると考えることができます。
まとめ
「酷い」と「惨い」の違いについて見てきました。
2つの言葉の意味の違いを知ることで、使い分けに失敗せずに済みそうです。