「トレース」と「模写」の違いとは?分かりやすく解釈

「トレース」と「模写」の違い専門用語・業界用語

この記事では、「トレース」「模写」の違いを分かりやすく説明していきます。

「トレース」とは?

「トレース」とは?

「トレース」とは、英語で“trace”と書き、「足跡」「形跡」「手がかり」と言った意味のほか、「トレース図」を指す単語です。

絵画について、元の資料となる絵の上に別の用紙を置く事で、下の資料となる絵が透けて見え、それになぞって写し描く行為を「トレース」と呼び、印刷やコピーのイメージに近いと言えます。

一般的に、自分の画力技術の向上のための練習として行われますが、元の資料となっている絵をただなぞって描くだけであるため、技術向上はあまり見込めません。

個人の範囲で楽しんだり、金銭が絡まないような友人同士でのやりとりなどの範囲で行う分には問題ありませんが、「トレース」した絵を自作と偽り発表したり、SNSに投稿したり、公式なコンテンツの絵として発表する事は、著作権を侵害している行為であり、発覚した際に非常に問題となり、場合によっては賠償を負う事になるかもしれません。

これを「トレパク」と呼び、「トレース」の発覚が原因で、SNS等が炎上してしまった例も少なくありません。

コンピュータ技術の向上によって、CGを用いた高度な「トレース」が行えるようになったため、非常に巧妙かつ精度の高い「トレース」によって、自作であると錯覚するような作品も出てきており、問題となっています。

「模写」とは?

「模写」とは?

「模写」とは、「もしゃ」と読み対象となる資料や絵を目視で映し取って描く事を言います。

一般的に技術向上や画力アップ、プロの能力を吸収するために行います。

そのため、資料となっている絵の作風や、作者の意図を理解し実際に体感する意味合いが強くなっている行為と言えます。

「模写」についても、元の絵が存在するため、自分の作品として発表したり、SNSに掲載したりすることは著作権を侵害しており、問題となる行為で望ましくありません。

ただ、自分の絵の中に登場する背景や動物などを参考にして「模写」する事は、美術を専門とした学校の授業や、プロの世界でも行われています。

「トレース」と「模写」の違い

「トレース」と「模写」の違い

「トレース」「模写」の違いは、元となる絵をどのような方法、目的で描いているかによります。

元となる絵に、白紙の用紙を重ね、ただなぞって描く場合は「トレース」と呼びます。

ただ単になぞっているだけですので、初期の画力向上のための練習にはなるかもしれまんせんが、継続的な画力の向上は見込めないでしょう。

一方、「模写」とは元となる資料を目視で映し取って描く事を指します。

美術の専門学校の授業や、実践でも取り入れられており、画力の向上や元の資料となった絵の作者の作風や意図などを体感し理解するために行われます。

どちらも、資料の元となっている絵が存在するため、これを自作として発表したり、何も言及されない状態でSNSに投稿するなどと言った行為は、著作権を侵害しており、望ましくないばかりか、場合によっては大きな問題となる場合もあるので注意する必要があります。

「トレース」の例文

「トレース」の例文

・『彼はネットにあるイラストをトレースする事が趣味だ』
・『トレースした事を隠して作品を発表したイラストレーターが批判の的となった』

「模写」の例文

「模写」の例文

・『自分の画力向上のため、模写して練習している』
・『作品を模写する事で、作者の意図を体感する事ができる』

まとめ

まとめ

「トレース」「模写」の違いは、元の絵をなぞってコピーするか、目視で映し取るかという違いがあります。

共に画力向上のための練習として行われますが、「トレース」「模写」した事を隠して作品を発表すると、著作権の侵害にあたり、非難の的になる事があります。

「トレース」「模写」ともに、自分で楽しむ範囲で行うようにしましょう。