この記事では、「身元」と「身分」の違いを分かりやすく説明していきます。
「身元」とは?
「みもと」と読み、その人の出生、出自、経歴などのことを表します。
素性のことです。
また、「身元を引き受ける」と言った場合には、責任を持って身柄を引き受けるという意味になります。
「身元」の使い方
素性について言う時に使います。
「身元が分かった」、「身元を明かす」などと、使用します。
「身元調査」や、「身元不明」と組み合わせて使うこともあります。
「身分」とは?
「みぶん」と読み、その人が、社会や団体の中で身を置いている地位のことを指す言葉です。
また、境遇や身の上についていうこともあります。
例えば、「いいご身分ですね」のように使用します。
社会学上での身分には、二種類あり、一つは「帰属的身分」で、もう一方は「獲得的身分」です。
「帰属的身分」は、生まれながらにして得ている身分のことで、個人の能力、業績に関係なく、性別や年齢、血縁関係などの属性により決定するものです。
それに対し、「獲得的身分」とは、競争や個人の努力などによって得られる身分のことになります。
法の上で身分と言った場合には、法律上の地位のことを指します。
例えば、嫡出子、非嫡出子や、夫・妻のような特定の地位をいいます。
「身分」の使い方
社会の上での地位を表すときに使います。
封建的社会では、「身分」は生まれながらにして得られているものが多く、現代では、自分の立ち位置を表すときに使います。
「身分を明かす」や、「身分は武士だ」などと、使います。
また、「楽隠居の身分」や、「受験勉強に明け暮れている身分では」などと、自分の置かれている状況を表すときにも使用します。
「身分相応」と、組み合わせて使うこともあります。
「身元」と「身分」の違い
「身元」は、その人の素性のことを表し、「身分」は、その人の立ち位置のことを表す言葉です。
「身分制度」とは言いますが、「身元制度」とは言いません。
しかし、同じような意味で使われることもあります。
例えば、「身元証明書」という書類があります。
これは、個人が法律上の行為能力を備えているかどうかを証明する書類です。
その書類は、市区町村によっては、「身分証明書」という名称で取り扱っている場合があります。
その場合には、「身元」と「身分」は同じ意味合いで使われています。
運転免許証などの本人確認書類のことを、「身分証明書」ということがありますが、それとは違います。
「身元」の例文
・『身元不明の遺体が、今朝河川敷で見つかりました』
・『ほとんど会ったことのない叔母に、身元保証人を頼んでみたが、案の定断られてしまった』
・『彼は、多額の寄付をしたときに、身元を明かさずにその場を去った』
「身分」の例文
・『三食昼寝付きのいい身分でいられる専業主婦は、昔よりも減ってしまいました』
・『運転免許証の有効期限が過ぎてしまったので、身分証明書として使えるのは健康保険証しかない』
・『そんな贅沢をしてはいけません。身分に合った生活をしなさい』
まとめ
「身元」と「身分」は同じ意味合いで使われることもありますが、意味は違います。
違いを知って、役立ててください。