お店のキャンペーンでは粗品が「進呈」されたりポイントが「付与」されたりします。
この「進呈」と「付与」というふたつの言葉は普段無意識のうちに使い分けているほどなじみ深い表現ですが、具体的にはどのような意味の地がいがあるのでしょうか。
今回は、「進呈」と「付与」の違いについて解説します。
「進呈」とは?
「進呈」とは「人に物をあげることの丁寧な言い方」です。
「進呈」の「呈」には「差し出す」「差し上げる」など「目上の人に対して物品を引き渡す」という意味があります。
「進呈」の「進」は「進んで」という意味で「いやいやではなく前向きな気持ち」を表しています。
ふたつの言葉の意味を合わせると「前向きな気持で目上の人に物品を引き渡す」となりより具体的には「品物をさし上げる」という意味になります。
「あげる」や「やる」など「物品の所有権を自分から相手に移行する」のへりくだった言い方で、相手を敬う気持ちが込められた敬意表現です。
基本的には目上の人に使う言葉ですがお客様や取引相手など経緯を示すべき相手であれば両者の身分や肩書にかかわらず用いられます。
対価をとらずに差し出すことを意味する言葉なので金銭と引き替えに物品を渡したり物々交換したりする場合は含まれません。
「進呈」の使い方
・見学してくれた方に小冊子を進呈する。
・お世話になった方に自著を進呈する。
・宣伝を兼ねてオリジナルグッズを進呈する。
・応募者全員にステッカーを進呈します。
「付与」とは?
「付与」とは、「新たに付け加える形で与え授けること」を意味する言葉です。
一般的には権利や資格など「はっきりとした形がなく目に見えないものを与えること」を指す表現です。
付け加える形で与えるため元の状態に上乗せされる形となり、何かが損なわれたり失ったりすることなく「付与」されたものだけが上積みされる結果になります。
基本的には「授けることで減らないもの」が与えられることを意味する言葉です。
金銭の場合は人に与えればその金額分だけ保有量が減少しますが。
権利や資格などはもともと保有されているものではなくいくらでも増やすことが可能です。
そのような人に与え授けたとしても減少することがないものが与えられることを「付与」と表現します。
お店のポイントなどは原資となる資金が必要ですが、ポイントそのものを発行する権利は店側にあり理論的にはいくらでも生み出せるものなので「付与」という言葉が使われます。
「付与」の使い方
・外国人に参政権は付与するべきではない。
・買い物をしたらポイントが付与された。
・6カ月以上継続して働くと有給休暇が10日付与される。
・普通自動車免許を取得すると原付免許も付与される。
「進呈」と「付与」の違い
「進呈」と「付与」の違いは「所有権」です。
「進呈」とは物品を相手に渡すことであり所有権の移転を伴います。
「付与」は権利や資格など所有権で規定されないものが一方的に与えられることを意味する言葉です。
形があって所有権のある物品が引き渡されるのが「進呈」、権利や資格など所有権という考え方のないものが与えられるのが「付与」という違いがあります。
まとめ
「進呈」と「付与」は自分でするよりもされることが多い言葉ですが、細かい意味の違いまで気にしたことがないという人が大半です。
それぞれの言葉は厳密な違いで使い分けられています。
言葉を正しく使えるように意味をきちんと知っておきましょう。