軍隊など先頭集団の強さを表す言葉としてがあります。
同じ意味だと混同されることも多いふたつの言葉ですがじつは全く違うことを表しています。
いったいどのような違いで区別されているのでしょうか。
今回は、「戦力」と「武力」の違いについて解説します。
「戦力」とは?
「戦力」とは、「戦闘するための総合的な能力」を意味する言葉です。
火力や打撃力など直接的な攻撃力だけではなく兵站や生産力など「先頭集団として活動するために必要な諸々の要素をあわせた総合力」を指して「戦力」と表現します。
一般的には「軍隊が組織として継続的に活動しうる能力」を意味しており、短期ではなく長期的に戦うための力を指しています。
強力な武器や兵器を有していても補給や精算が不十分では一度戦うだけで継戦能力は失われてしまいます。
そのような状況にある軍隊は「戦力が低い」状態にあると表現されます逆に個々の部隊は攻撃力が低く脅威がそれなりであっても兵站や生産体制が十分で次から次に部隊が送り込まれてくるような継戦能力に優れた軍隊は「戦力が高い」と表現されます。
「戦力」の使い方
・敵国の戦力を分析する。
・国の規模に対して戦力が十分であると言えない。
・世界の混乱に隠れるように着々と戦力を蓄える。
・戦力は上回っているができれば開戦は避けたい、というのが政府の考えだ。
「武力」とは?
「武力」とは、「戦うための力」を意味する言葉です。
もともとは個人が武器を持って戦う力を意味する言葉で武術や武器の質などを合わせた「直接的な戦闘力」を指します。
本来の意味では肉体的な強さを指していましたがそこから転じて「軍隊など集団の直接戦闘力」という意味で使われます。
基本的には戦闘を有利に進めるための攻撃力を意味する言葉で、正面からぶつかったときにより相手に大きなダメージを与えられるような「直接的な暴力」を表しています。
一般的には計略や知略など頭脳戦の強さは含まず純粋な戦いのための力を指す言葉です。
現代においては話し合いや外交など平和的な力とはことなる「平和的ではない力」という意味で用いられています。
国際社会で「武力」という場合は軍隊や軍隊の攻撃能力もしくはテロリストなど軍隊に近い性質を持つ先頭集団やその攻撃能力を表します。
「武力」の使い方
・国境線付近で武力衝突が発生した。
・武力に寄る問題解決は禍根を残すことになる。
・圧倒的な武力で征服する。
・交渉途中で武力をチラつかせて脅すのはうまいやり方ではない。
「戦力」と「武力」の違い
「戦力」と「武力」の違いは「総合力と攻撃力」です。
どちらも軍隊など戦闘集団の戦うための力を意味する言葉ですが「戦力」が攻撃力以外の兵站や生産なども含めた総合的な能力を意味しているのに対し、「武力」は攻撃や防御など直接的な戦闘能力のみを意味しています。
「武力」に補給能力や生産能力など先頭集団が活動するのに必要な諸々の要素を加えた総合能力が「戦力」です。
「武力」は戦闘集団全体の総合力、「武力」は戦闘集団のうち直接戦闘の能力という個別の要素を指すという違いがあります。
まとめ
「戦力」と「武力」は同じような意味合いで使われることが多く混同されていることもよくありますが、本来の意味は全く異なる別の言葉です。
戦闘集団の能力のうちそれぞれが何を指しているのかきちんと理解しておきましょう。