会社で仕事をしていると、聞きなれない表現が耳に入ることもあります。
この記事では、「斟酌」と「参酌」の違いを分かりやすく説明していきます。
今さら聞きにくい言葉を、短時間でおさえていきましょう。
「斟酌」とは?
「斟酌(しんしゃく)」とは、相手の気持ちをくみとること。
また「こちらの希望」と「相手の思い」をすり合わせて、いい方向に物事を進めていくことです。
意見の異なっているもの同士を調整させて、波風の立たない状態に持っていくことをあらわします。
社会人として、とても大切なスキルのひとつです。
「斟酌」は「斟む(くむ)」と「酌む(くむ)」という、同じ読み方の漢字によって成り立っています。
「斟む」には、相手の立場を思いやる、推し量るという訳があります。
そして「酌む」には、相手のグラスにお酒を注ぐという、居酒屋のワンシーンを思わせるニュアンスも含まれています。
また「酌む」には「相手の事情を読み取って、帳尻をあわせる」という意味もあります。
つまり、こちらの要望と相手の希望をすり合わせて、落としどころを見つけていくことが「斟酌」です。
斟酌は仕事の場で、このように使います。
「取引先の経営状態を斟酌し、寛大な措置をおこなうことにした」「各部署の不満を斟酌して、新しいシステムを開発した」このように斟酌には、それぞれの立場を思いやって、さらに良い構想を組み立てていくという意味があります。
「参酌」とは?
「参酌(さんしゃく)」とは、他のものと比べること。
良いと思ったことは、積極的に自分のものにしていくことです。
また自治体で使われる「参酌すべき基準」は「十分に考えなければいけない基準」として用いられます。
使われるシーンによって、微妙にニュアンスが変わる言葉です。
「参酌」は「参考にする」の「参」という漢字がふくまれています。
「参」には「調べる、比べる」という意味もあります。
そして「酌」は、相手の意見に耳を傾ける訳となります。
つまり他のものと広く見比べながら、良いことと悪いことの選別をしていく作業が「参酌」にあたります。
「参酌」には「悪いものは省く」という訳も含まれているので、仕事の現場ではあまり積極的に使われない表現です。
企業が第三者委員会の意見を参考にするとき、自治体が広く市民の意見をあつめるときなどに「参酌」を用います。
「斟酌」と「参酌」の違い
どちらも「酌む」が入っているので、間違えやすいです。
「斟酌」と「参酌」の違いを、分かりやすく解説します。
・お願いするときは「斟酌」
「斟酌」は相手の立場を踏まえた上で、よく取り計らうこと。
「参酌」は相手の立場を考えた上で、取捨選択をすることです。
そのため相手にお願いするときは「事情を考慮してください」という意味の「ご斟酌ください」を使います。
切り捨てるという訳がある「ご参酌」は、ビジネスの現場ではあまり用いられない表現となります。
まとめ
「斟酌」と「参酌」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも「意図をくみとる」という共通の訳があります。
「斟酌」は相手の事情を思いやって、寛大な処置をおこなうこと。
そして「参酌」は広く意見を聞いて、良い部分のみ採用することです。