戦乱の世の中において、重要だったのは個人的な利害関係よりは忠義の意識だったでしょう。
中国の三国志や日本の戦国時代の逸話を見てみても、基本になるのは主君となる人物の才能や情熱、あるいは恩に対して心を動かされることによって忠誠や忠義の思いを持つようになることが人の結びつきの基本になっていました。
さて、ここで出てきた「忠義」や「忠誠」とはどういう意味でしょうか。
2つの違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「忠義」と「忠誠」の違いを分かりやすく説明していきます。
「忠義」とは?
「忠義」とは、「忠」が「真心を尽くす」ことで、「義」が「恩義とか人の道」であることから、合わせて「恩義に真心を尽くして報いる」とか「人の道に従って真心を尽くす」ということを表します。
ただ、使われるのは戦国時代などの昔の話を記述する時だけで、一般の文章の中で出てくることはほとんどありません。
英語では昔の言葉であることも含めて「fealty」が近いでしょう。
「忠誠」とは?
「忠誠」とは、「忠」が「真心を尽くす」ことで、「誠」が「正しいこと」であることから、合わせて「正しいことに真心を尽くす」ことを言います。
言い換えれば「自分が信じるもののために良いと思うことを行う」とも言えます。
英語では、「loyalty」が近いでしょう。
「忠義」と「忠誠」の違い
「忠義」と「忠誠」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、「何かに対して真心を尽くす」という意味では同じです。
しかし、厳密に言えば対象が違います。
「忠義」においては真心を尽くす対象は「人の道」です。
それに対して「忠誠」の対象は「正しいこと」です。
この対象の違いが実質的な行動の違いになっており、「忠義」における「人の道」とは「恩義に報いる」ことを第一に考えるために「忠臣」に繋がりますが、「忠誠」における「正しさ」とは「自分が信じること」なので、結局は「信じるものに従う」というのが原則になります。
「忠義」の例文
「忠義」の例文は以下のようになります。
・『主君への忠義を貫いて生涯を終えた武将がいました』
・『現代においては忠義という意識は人々の中にはありません』
「忠誠」の例文
「忠誠」の例文は以下のようになります。
・『国家に忠誠を誓っていたのは昔のことでしょう』
・『自分の所属する会社やグループに対する忠誠心を持っている人はあまりいないでしょう』
まとめ
この記事では、「忠義」と「忠誠」の違いを、解説してきました。
序文で述べたように、中世においては「忠誠」や「忠義」が人々の行動理念の根本にあったのでしょうが、歴史的な味方としてはやはり戦争を繰り返していた時代であり、そのために多くの大切な命や財産が失われたことも事実です。
現代に目を向けると、人々の行動原理は多岐にわたっていて、それが許容され尊重されることが原則ですが、実際にはそうでないことも多く、結果として中世と同じように多くのものが理不尽に失われていっているとも言えるのではないでしょうか。