人によってはあまり関わることがない職業として行政書士というものがあります。
国家資格を持つ職業であり、簡単にいうと普通の人と行政機関との橋渡しをするのが主な役割です。
行政書士が関わるものとして、重要なものが、行政手続法や行政不服審査法に書かれている「聴聞」と「行政不服審査」で、その中で重要な役割を果たすのが「聴聞主宰者」や「審理員」という立場の人です。
さて、ここで出てきた「聴聞主宰者」とか「審理員」とはどういう意味を持つのでしょうか。
また、2つの違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「聴聞主宰者」と「審理員」の違いを分かりやすく説明していきます。
「聴聞主宰者」とは?
「聴聞主宰者」とは、行政手続法で決められた「聴聞」を「主催」するものという意味です。
「聴聞」とは、行政機関の責任者が、許認可の取り消しなど国民の不利益になる処分を決定するときに、その内容と根拠を審理して正しい判断を知るために行われます。
「聴聞」では、その処分がどういうもので、どういう証拠と判断に基づいて行われるかが説明され、それに対する当事者の質問、意見等が行われ、それらの内容を「聴聞主宰者」がまとめた上で、自分の意見も加えて決定する行政機関の責任者に提出した後に最終的な処分が決定します。
「審理員」とは?
「審理員」とは、行政手続法と行政不服審査法に定められた「行政不服審査」において、中心となって決裁に対する意見をまとめて、責任者に提出する役割の人のことです。
この「行政不服審査」は、各種の許認可の拒否や取り消し等の処分によって不利益を被った人が「不服申し立て」を行うことによって招集され、決定や処分の内容と根拠、および証拠などと関係者の意見等を吟味してその処分が適当かどうかの判断する根拠となるものです。
結果として処分が取り消されることもあります。
「聴聞主宰者」と「審理員」の違い
「聴聞主宰者」と「審理員」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは、行政の決定によって国民に不利益がもたらされるような場合に、国民の不利にならないように決められた審査会において審理の主体となる人のことです。
この2つの違いは、前述のように、どの審査会を代表するかということになります。
「聴聞主宰者」は文字通り「聴聞」という審査会の、「審理員」は「行政不服審査」の中で任命されるものです。
この2つの審査会の最も大きな違いは「聴聞」が、処分が決定される前に行われるもので、「行政不服審査」は処分が決定された後ということです。
「聴聞主宰者」の例文
「聴聞主宰者」の例文は以下のようになります。
・『その事項の当事者と利害関係にあるものは聴聞主宰者には慣れません』
・『聴聞主宰者は、可能な限り双方の意見や証拠を考慮して自分の意見を述べる必要があります』
「審理員」の例文
「審理員」の例文は以下のようになります。
・『審理員には省庁の職員が任命されるケースも多いです』
・『審理員の客観性が担保されないケースのために、改正法によって第三者機関への諮問の手続きが追加されました』
まとめ
この記事では、「聴聞主宰者」と「審理員」の違いを、解説してきました。
さらに、「聴聞」と「行政不服審査」に関しても、詳しく説明しました。
行政の行う様々な行為や決定は決して国民に対して不当に不利益をもたらすようなものであってはいけないという考え方に基づいて設けられているのが、このような制度です。
従って、適切に利用することが重要です。
ただ、何かを実施するためには、それに関する法律や手続きに関する知識が必要です。
そのような時に助けてくれるのが行政書士の資格を持っている人たちなのです。