同じような動作を表す言葉が複数あるというケースはかなりの数があります。
そのようなケースでは使い分けをするにあたっては3つの場合があり得ます。
1つ目は、全く同じ意味であって、どれを使用しても問題がない場合。
2つ目は、若干のニュアンスの違いがあって、それを意識して使い分ける必要があるもの。
そして3つ目は、完全に違う意味を持つと定義されてるため、使い方を誤ると誤用になってしまうという場合です。
例えば「坂道をのぼる」の場合は「坂道を上る」と「坂道を登る」という表記の違う言い方がありますが、どれに当たるのでしょうか。
この記事では、「坂道を上る」と「坂道を登る」の違いを分かりやすく説明していきます。
「坂道を上る」とは?
「坂道を上る」とは、文字通り「坂になっている道を下から上の方に上がっていくこと」です。
ここで重要なのは「上る」という言葉がかなり日常的に使われる言葉であり、簡単に表現されるということで、これによって「上る」行為自体にも困難さが現れない場合が多いと言えます。
英語では、これらのニュアンスも含めて「go up the slope」が近いでしょう。
「坂道を登る」とは?
「坂道を上る」とは、「坂になっている道を上まで行く」ことです。
「山に登る」という熟語で使われるように、スタート地点と目的地の間に心理的な壁があるケースが多い言葉です。
心理的な壁というのは、時間がかかるとか、勾配が急であるとか、道が細いとかが挙げられます。
英語では細かいニュアンスも含めて「climb the slope」が近いでしょう。
「坂道を上る」と「坂道を登る」の違い
「坂道を上る」と「坂道を登る」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は、言っていることは同じですし、どちらも用法的な間違いではありません。
従って、2つの違いを明確に意識するのは難しいのが現実ですが、微妙な違いとしては、「坂道を上る」の方が「徐々に高いところに向かっている」感じがするのに対して、「坂道を登る」の方は、「開始時点と目的地の高低差を克服して到達する」というニュアンスが含まれるということです。
これは「登る」の代表的な表現が「山に登る」で、「上る」の代表が「階段を上る」であることからなんとなく理解できると思います。
「坂道を上る」の例文
「坂道を上る」の例文は以下のようになります。
・『坂道を上るとその先には夕陽が見える場所がありました』
・『そこにある100mくらいの坂道を上るとお店が見えると思います』
「坂道を登る」の例文
「坂道を登る」の例文は以下のようになります。
・『おじいさんは10分かけて坂道を登ってきました』
・『このエリアには高低差があるので、動物園に着くまでにいくつもの坂道を登る必要があります』
まとめ
この記事では、「坂道を上る」と「坂道を登る」の違いを、解説してきました。
実は、この言い方には、この2つ以外にも「坂道を昇る」という表記もあり得ます。
「坂道」に関しては「昇る」という表現を使用することはあまりないので、今回は省いていますが、「エレベーターで昇る」や「太陽が昇る」に関してはこの文字を使うことが多いと言えます。
「昇る」に関しては「高いところに一気に上がる」というニュアンスがあるので、これを機会に、これらの3つを総合的に判断して使い分けで見るのも面白いでしょう。