日本のよき文化とも言える「わび」と「さび」。
この記事では、「わび」と「さび」の違いを分かりやすく説明していきます。
「わび」とは?
「わび」の漢字は「侘び」です。
この「侘」という漢字には、わびしい、寂しく思う、といった意味があります。
非常にネガティブで後ろ向きの気持ちや様子を意味することから、質素で簡素といった意味として用いられる言葉となりました。
その後、日本文化の美意識を意味する言葉として「わび」が用いられるようになり、今では、閑寂な趣、閑寂な生活を楽しむ、などといった意味で用いられるようになりました。
「わび」の使い方
「わび」は、「わびの精神」や「わびが加わった」といった使い方のほか、千利休が広めた茶道の様式を「わび茶」と言います。
「さび」とは?
「さび」の漢字は「寂び」です。
この「寂」には、さびしい、ひっそりしている、といった意味となります。
単にさびしいだけではなく、静かで、古びたといった意味を持つことから、古くなることで出てくる味わい、趣、といった意味として「さび」が用いられています。
古きものを単に古くなったものと思うのではなく、その中に趣を感じ良いものだと思える日本人らしい美意識を表す言葉が「さび」となります。
「さび」の使い方
「さび」は、「さびを感じる」や「さびがある」、「さびのある」などといった使い方となります。
「わび」と「さび」の違い
「わびさび」とまとめて使われることが多い言葉ですが、それぞれに異なった意味を持つ言葉となります。
どちらも、趣を感じるといった意味は同じです。
そのうえで、何を見て何に対し、趣を感じるのかといった違いがあります。
「わび」の場合は、簡素で質素な様子。
「さび」の場合は、古びたものです。
この違いが、両者にはあり、「わびさび」とひとくくりにして用いる際は、両方に趣を感じた場合となります。
「わび」の例文
・『質素な暮らしでありながらも、彼女の生活にはわびを感じるところが多い』
・『私は、わびの精神を重視するため、あえて、贅沢はせずに質素な暮らしを選んでいます』
・『外国の人にわびの意味をどのように伝えれば良いのか困っています』
・『断捨離は、わびの精神のひとつと言ってもいいのではないか』
「さび」の例文
・『私は、さびのある建物を写真に収めることを趣味にしています』
・『子供には、このさびのある風情は、まだ理解できないかもしれません』
・『さびを感じることができる素敵な建物ですね』
・『さびを感じることができる建物を改造し、喫茶店を開業しました』
まとめ
どうしても、ひとまとめにして用いられることが多い言葉ですが、それぞれに異なった意味を持つため、それぞれの意味を踏まえ用いることが大切です。
「わび」は簡素や質素なこと。
「さび」は古びたものに趣を感じる際に用いる言葉となり、それら両方に趣を感じる際に初めて「わびさび」を用いることができます。