この記事では、「棄却」と「敗訴」の違いを分かりやすく説明していきます。
裁判にまつわる用語を正しくおさえていきましょう。
「棄却」とは?
棄却(ききゃく)とは、よく審議した上で退けること。
裁判所が訴状の内容を読んで、取り扱わないことです。
裁判でよく聞く用語のひとつになります。
棄却は「原告の訴えを棄却します」などと言いあらわされます。
日本の裁判では「三審制」をとっていますが、この一審、二審、三審にすすむプロセスのうちに行われるのが棄却です。
「棄却」は控訴や上告をおこなった人に対して、裁判所がおこなう判断です。
よく似たものに「却下」がありますが、却下は訴状の内容を読まずに、訴えをしりぞけること。
棄却は訴状の内容をよく読んで、吟味した上で出すものです。
裁判所が却下や棄却をおこなうと、それ以前に出た判決が確定されます。
「敗訴」とは?
敗訴(はいそ)とは、裁判で負けること。
訴えが認められずに、こちらの言い分が認めてもらえないことです。
裁判では「訴える人」を原告。
「訴えられた人」を被告として扱います。
そして原告と被告のどちらの言い分が正しいのか、法廷の場でよく吟味していきます。
裁判官は裁判の終わりには、ひとつの判決を出します。
「訴える人」の言い分が認められなかったとき、原告に対して敗訴判決を出します。
原告側が負けてしまうこと、裁判所にその訴えを認めてもらえないことが敗訴です。
裁判では「敗訴した側が、諸費用を負担すること」が義務付けられています。
もし裁判所の判決に不服がある場合は上訴をおこない、裁判のやり直しを進めることができます。
「棄却」と「敗訴」の違い
どちらも裁判にまつわる言葉です。
「棄却」と「敗訴」の違いを、分かりやすく解説します。
・棄却は「裁判所の拒否」敗訴は「裁判で負けること」
「棄却」と「敗訴」はどちらも良く似ていますが、少しずつ中身が異なっています。
棄却とは、訴訟内容を吟味したものの、裁判所によって退けられること。
何らかの理由があって、裁判所で取り扱ってもらえないことです。
そして敗訴は、裁判が開かれたものの訴えが認められず、裁判で負けることです。
棄却は裁判所が「これ以上、裁判を開いても意味がない」と判断すること。
そして敗訴は裁判所が訴状を受け取り、裁判は開いたものの、結果的に証拠がそろわず負けてしまうことです。
実際の裁判では「勝てる見込みがない」と判断すると、当事者同士で「和解」をおこない妥協策を見つけていくこともあります。
この辺りの判断はとても難しいので、迷った場合は法律のプロに相談してみることも大切です。
まとめ
「棄却」と「敗訴」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「棄却」とは裁判所に、訴えを退けられること。
よく吟味されて、戻されることをあらわしています。
そして「敗訴」は裁判で負けてしまうこと。
証拠がそろわず、法廷で勝てなかったことです。
違いをマスターして、いざという時に備えておきましょう。