似たような意味だと思われがちな「誤り」と「過ち」ですが、実際にはどのような意味の地がいがあるのでしょうか。
今回は、「誤り」と「過ち」の違いについて解説します。
「誤り」とは?
「誤り」とは、「間違えること」を意味する言葉です。
一般的には「正解が存在する物事における正解以外のこと」を指して「誤り」といいます。
正解と間違いのことを一語で「正誤」と表しますが、簡単に言えば「正解の反対」が「誤り」となります。
選択肢のある問題なら正しい選択肢以外が「誤り」となりますが、現実的には問題に対して明確に選択肢が用意されているケースはほとんどなく正解でも「誤り」でもないものが多数存在します。
正解に対し無数に存在するそれ以外の選択肢の中でも特に大きくかけ離れているものや外れているもののを指して「誤り」と表現します。
「正しいか正しくないか」で判断できるミスや間違いに対して使われる言葉ですが、そもそも正解が存在しない抽象的な物事や判断のわかれる事象については「誤り」と断定することそのものが難しいケースも多く見られます。
「誤り」の使い方
・『書類をチェックして誤りを指摘する』
・『ポスターの誤りを訂正してお詫びします』
・『データの誤りを見逃せば導かれる結論がおかしなものになるのは当然だ』
・『テストの誤りをチェックして復習する』
「過ち」とは?
「過ち」とは、「道理に外れた行い」を意味する言葉です。
道徳や常識、社会通念や世間の常識など「多くの人がそうあってあたりまえだと考えている規範から外れた行い」のことを「過ち」と表現します。
「過ち」の「過」という字には「とおりこす」という意味があります。
「過ち」がとおりこしているのは「人として守るべきルール」です。
ある段階を踏み越えることを「一線を越える」と言いますが、「過ち」という言葉は「人として守るべきルールの一線を越えてしまう」ことを表しています。
一般的には「人に非難されるような非常識なふるまいや規範に外れた行為」を指して「過ち」と表現しますが後ろ指を指されるような人に顔向けできない行為だけでなく「やりすぎによる失敗」も「過ち」に含まれます。
実を守るための仕方がない暴力は正当防衛になりますが行き過ぎた防衛行為は「過失」となり守るべき一線を超えてしまった「過ち」になります。
「過ち」の使い方
・『過ちを犯したことを真摯に反省する』
・『過去の過ちが今になって影響してくる』
・『過ちを悔いて一新に懺悔する』
・『過ちを犯した人にも更正の機会を与えるべきだ』
「誤り」と「過ち」の違い
「誤り」と「過ち」の違いは「判断基準」です。
「誤り」は正解のあるものにおける正解以外を指す言葉です。
判断基準となるのはあらかじめ設けられた正解です。
「過ち」は道理や常識に外れた行いを指します。
法律など明文化されたルールから道徳心や倫理観のような明文化されていない常識や社会通念まで、幅広い規範が判断基準になります。
まとめ
「誤り」と「過ち」は似ているような言葉に思えますがそれぞれの意味を知ると全く異なる意味合いであることがはっきりと分かります。
文脈に合わせて正しい言葉を使えるようにそれぞれの正確な意味を覚えておいてください。