この記事では、「上梓」と「刊行」の違いを分かりやすく説明していきます。
「上梓」とは?
上梓とは、じょうしという読み方をする言葉です。
漢字で書かれたこの言葉を見れば一目瞭然な事ですが、あげるとか位置がうえといった意味の上の漢字に、木版印刷に使用する版木を意味する梓の漢字を組み合わせる事で完成した言葉となっています。
だからこそ上梓は、書物を出版する事や文字を版木に刻む事等を意味するのです。
「上梓」の使い方
上梓は基本的に、書物を出版する、という意味で使われる言葉となっています。
ただし表現としてはやや古風で畏まった言葉であるため、日常会話の中でこの上梓という言葉が登場する事はほとんどないです。
なので大抵の人にとっては、余り馴染みのある言葉とは言えません。
ですが出版業界においては、本を出版する、という意味でこの上梓という言葉が普通に使用されています。
「刊行」とは?
刊行とは、かんこうという読み方をすべき言葉です。
文字で表記されたこの言葉を目にすれば分かる事ですが、書物を出版するといった意味を持つ刊の文字に、書物を世に出すといった意味を有する行の文字を加える事で成立した言葉となっています。
そのため刊行は、書籍を印刷して世に出す事や、出版といった意味を表すのです。
「刊行」の使い方
刊行は、書籍を出版する、という意味で用いられる言葉となっています。
ただし文学全集や美術全集といったやや堅いイメージの書籍に対して使われる言葉です。
なので漫画の様な軽い印象の書籍に対しては、刊行という言葉は使わずに、出版するという言葉を使うのが無難だったりします。
要するに意味合いとしては本を世に出す、という出版と同じですが、もっと堅いイメージを与える言葉となっているのです。
「上梓」と「刊行」の違い
上梓と刊行は、文字表記を見比べれば使用されている漢字も、読み方も全然違う言葉同士となっています。
ですがどちらも、本を出版する、という同じ意味合いを持つので使い分けの際にややこしい組み合わせの言葉と言えるのです。
もっとも上梓は、書物を出版する、という意味を畏まった形で丁寧に表す言葉で、主に出版業界の人が使っている言葉となっています。
一方の刊行は、美術全集や文学全集といった堅いイメージの本を出版する際に、用いられる言葉です。
「上梓」の例文
・『科学系の論文を纏めたサイエンス本が、間もなく上梓される予定です』
「刊行」の例文
・『来月には、日本文学全集が刊行されます』
まとめ
2つの言葉は、用いられている文字も読み方も特に共通点は見られません。
所がどちらの言葉も、書籍の出版に関連した意味を持っているため、混同してしまう恐れのある言葉同士であると言えるのです。
ですが使用されている文字が違う事で、示す意味合いのニュアンスにも相違点が生じています。
まず上梓ですがこれは、書物を出版する、という意味を畏まって丁寧に表現する際に使われる言葉です。
主に出版業界で働く人が、使用する言葉となっています。
対する刊行は、文学全集等の堅い印象の本を出版する際に、用いるべき言葉です。