誰かに何かを依頼するときによく使う表現として「差し支えなければお願いします」とか「差し障りなければお願いします」があります。
この2つはほぼ同じ意図で使うことが多いのですが、本当の意味はどんなものでしょうか。
また、違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「差し障り」と「差し支え」の違いを分かりやすく説明していきます。
「差し障り」とは?
「差し障り」とは、「何かを邪魔する不都合や支障」のことです。
通常は「差し障りがある」とか「差し障りがない」と表現して、都合を聞く、あるいは主張する時に使用します。
元々「差し」という言葉は「指す」と同じように「突っ込む」とか「入れる」という意味なので、「差し支え」には「目の前に差し込まれた障害」というニュアンスもあります。
「障害」や「障壁」という熟語で使われるように「障」には「大きな妨げ」という意味があるので、「差し障り」にもそのような意味が含まれています。
英語では「obstacle」が近いでしょう。
「差し支え」とは?
「差し支え」とは、やはり「何かを邪魔する不都合や支障」のことです。
「差し障り」と同じように「ある」「ない」がつく言葉で、「前に進むに当たっての邪魔になるもの」といっても良いでしょう。
「支」という文字には「つっかえ棒」とか「引っ掛かり」という意味があるので、「ドアを開けようとしたがつっかえ棒があって開けられない」というイメージを持つ言葉です。
英語では「problem」を使うと似たイメージを表現できます。
「差し障り」と「差し支え」の違い
「差し障り」と「差し支え」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉は「支障」という熟語で括られます。
結論から言えば、違いは「支障」の内容です。
「差し障り」の「支障」は「障」の方が強いため、「障害物」というニュアンスがありますが、「差し支え」の方は「支」の方が強いため、「つっかえ棒」というニュアンスになります。
結果としては「差し障り」の方が大きな障害であることが多いとも言えます。
ただ、この違いは微妙なので、同じシチュエーションでどちらを使うかは実質的には好みの問題と言っても良いでしょう。
「差し障り」の例文
「差し障り」の例文は以下のようになります。
・『この計画に差し障りがあるならば、変更が必要です』
・『お願いした仕事に何か差し障りがありますか』
「差し支え」の例文
「差し支え」の例文は以下のようになります。
・『差し支えなければ、道を開けていただけますでしょうか』
・『どちらの日にちでも差し支えありません』
まとめ
この記事では、「差し障り」と「差し支え」の違いを、解説してきました。
これらの言葉は簡単に言えば「支障」と言い換えることができますが、「支障」には様々な種類のものがあります。
それらを聞き手がどのように判断するかで、返答は変わってきますが、実質的には「可能か不可能か」を聞いているに過ぎません。
そういった意味ではどちらも相手に対する気遣いが現れている言葉であるとも言えます。