「証憑」と「証拠」はどちらも「何かを証明すること」を示す言葉ですが、意味が異なるため区別して覚える必要があります。
この記事では、「証憑」と「証拠」の違いを分かりやすく説明していきます。
「証憑」とは?
「証憑」は「何らかの取引の成立を証明する書類」を意味し、それぞれの取引が口約束で終わらないことを立証するために作成します。
企業取引や会計に不可欠な書類とされ、外部的な取引を証明する書類だけでなく、内部的な取引を裏付ける書類も含まれます。
「証拠」とは?
「証拠」は「真実もしくは事実を明確にする根拠や証となるもの」を意味し、「論より証拠」や「動かぬ証拠」といった使われ方をしています。
また、「裁判における事実認定に必要な資料」という意味も持ち合わせています。
「証憑」と「証拠」の違い
「証憑」と「証拠」は双方とも「何らかの事実を立証すること」を意味する言葉ですが、主に「立証する情報のジャンル」や「使用する状況」、「立証する媒体の種類」に違いがあります。
「証憑」は「取引の有無や内容を証明する書類」を意味し、主として「企業取引」や「会計」の分野において使用されている言葉です。
「証憑」の具体例としては、「請求書」や「領収証」など売上に関連する書類、「発注書」や「納品書」など仕入に関連する書類、「雇用契約書」や「給与支払明細書」など雇用もしくは従業員に関連する書類があります。
上記のほか、事務所や駐車場などの「賃貸契約書」や銀行からの借入時における「金銭貸借契約書」、「小切手」や「送り状」といった書類も「証憑」に含まれます。
「証憑」は紙で作成され保存されることが一般的でしたが、近年では紙で作成した原本に加えて「電子データ」での保存も認められるようになりました。
一方、「証拠」は「事実もしくは真実を解明する根拠や拠りどころ」もしくは「裁判において事実を認定するために要する資料」を意味します。
「証憑」はどちらかというと「企業間もしくは企業内の取引や会計に関わる情報」が中心ですが、「証拠」の場合は情報のジャンルを問わず、あらゆる物事が「証拠」の対象になりえます。
また、「証憑」はビジネスの世界で多用される言葉ですが、「証拠」は「犯人特定の証拠」など犯罪や警察が関わる場面で使われるほか、「あなたのケーキを私が食べたという証拠はあるの?」など日常生活における些細なトラブルの場面で使われることもあります。
さらに、「証憑」は「書類」によって特定の内容を立証しますが、「証拠」の場合は書類に限らず、「音声」や「写真」、「映像」といったツールも物事を立証する根拠になりえます。
なお、裁判においては「目撃証言」や「自白」、「指紋鑑定」や「DNA鑑定」などが「証拠」になりうる場合もあります。
まとめ
「証憑」と「証拠」は表記も読み方も似ているため混同してしまうことが多い言葉ですが、それぞれの持つ意味や使用する場面などに違いがあることが分かります。
双方の違いを正しく理解して、言葉に関する知識をより深めてください。