友人同士の会話の中で、たまに以下のようなやりとりがあります。
「今どんな会社と取引きしてるの?」「それは、企業秘密なので教えられない」というものですが、大抵は深刻な話ではなく、ちょっとしたジョークの意味合いもあるでしょう。
それでは、この「企業秘密」とはどういう意味でしょうか。
また、「営業秘密」とどう違うのでしょうか。
この記事では、「営業秘密」と「企業秘密」の違いを分かりやすく説明していきます。
「営業秘密」とは?

「営業情報」とは、不正競争防止法上で定義されている言葉で、「3つの条件に合致した機密情報」のことで、法律上でそれを守るための規定や罰則が決められているものです。
「3つの条件」とは、機密として適切に管理されていること、価値があり有用なものであること、不特定多数に公開されていないことの3つです。
逆に言えば、これらの条件に合致していれば内容の詳細は問われません。
例えば、「営業情報」を不正に入手したり、使用したりすると「営業秘密侵害罪」として10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(又はその両方)が課せられます。
「企業秘密」とは?

「企業秘密」とは、一般的な言葉で、「企業が所有あるいは扱っている秘密」のことを言います。
法律で定義された言葉ではないので、状況や使用する人によって解釈が変わってきます。
普通は、最も広い範囲の定義として、「その企業の外部の人には知られてはいけないこと」として使用されます。
大きな意味では、前述の「営業情報」も、社員や顧客の「個人情報」も含まれますが、一定の管理規定があるわけではなく、不正競争防止法、個人情報保護法、その他の規定によって守られます。
「営業秘密」と「企業秘密」の違い

「営業秘密」と「企業秘密」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは「企業が扱う秘密」という意味では同じですが、そもそも法律的な扱いが異なります。
「営業秘密」が不正競争防止法上で定義された言葉として、流出や盗難などの罰則が規定されているのに対して、「企業秘密」には法律的な定義はないため、犯罪としての行為は規定されていません。
また、「企業秘密」はかなり大きな意味を持った言葉として使われることが多いので、企業が扱う秘密(機密)という意味では、「営業秘密」や「個人情報」なども「企業秘密」の一つと言うことはできます。
「営業秘密」の例文

「営業秘密」の例文は以下のようになります。
・『個人情報が営業秘密に当たるかどうかは、それがどのように管理されているかによって変わってきます』
・『不特定の誰にでも知ることができる情報は営業秘密とは言えません』
「企業秘密」の例文

「企業秘密」の例文は以下のようになります。
・『新製品の情報は企業秘密です』
・『街のクリーニング屋さんにも企業秘密はあります』
まとめ

この記事では、「営業秘密」と「企業秘密」の違いを、解説してきました。
一般的にな会話においては、圧倒的に「企業秘密」の方が使用頻度が高いのですが、前述のように、一般的な用語としては「機密」という方が正しく、「企業秘密」自体には確固たる定義はありません。
実際には秘密の種類や扱いによって、不正競争防止法や、個人情報保護法、雇用主と交わされた機密保持契約など、それぞれに対応した法律等で規制されることになります。