決断することを意味する言葉として「英断」と「果断」があります。
どちらも同じような意味で使われていますがどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「英断」と「果断」の違いについて解説します。
「英断」とは?
「英断」とは、「内容が素晴らしいと褒め称えられるような優れた決断」を意味する言葉です。
「英断」の「英」には「優れている」「秀でている」などほかと比べて優秀だという意味があります。
優れた人物のことを「英雄」、秀でた才能のことを「英才」というように「優れた決断」を指す言葉が「英断」です。
「英断」が表すのは「普通の人なら決断が難しいような問題に対し勇気を持って決断すること」です。
決断内容以外にも決断する勇気や決意を高く評価しています。
ある決断が優れたものであるかどうかはその時点でわからないことがほとんどです。
あることを決断したために他のものが不利益を被ったり苦しんだりすることもよくあります。
「英断」というのは「判断結果によって引き起こされる事態を覚悟した上でなお必要であるからと勇気を持って決断する」という強い積極的な姿勢を表す言葉です。
判断があっていたり正しかったりといった単純な正誤ではなく、その決断による影響が結果として周囲を良い方向へと導くような高度な英雄的判断を指して「英断」と表現します。
「英断」の使い方
・『被害者と和解する選択をしたのは英断だった』
・『これからは半導体の時代だと思い切って投資したのは当時の経営陣の英断である』
・『未来を担う少年少女のことを考え、小学校に英語教育を導入する英断を下す』
・『当時は非難する声が強かったが、結果的に中国市場からの撤退は英断だったと言わざるをえない』
「果断」とは?
「果断」とは、「ためらうことなく下される決断」を意味する言葉です。
「果断」の「果」には「思い切りがいい」という意味があります。
「勇猛果敢」のようにためらうことなく思い切って行動する様子を表す言葉で、「果断」の場合は「思い切りの良い決断」となります。
物事の判断には迷いや悩みがつきものです。
決断を迫られてもどちらがいいのか迷ってしまうのが普通ですっぱりと気持ちよく判断できることのほうがまれです。
「果断」とはそのような迷いや悩みがつきまとう判断ごとに対して「ためらいをみせることなく思い切って決断する様子」を表します。
思い切りの良さを意味する言葉なので決断の内容や評価は無関係です。
思い切って下した決断が良い結果あであっても悪い結果であってもためらうことなく下されていれば「果断」と表現されます。
一般的に「果断」という表現は決断の結果がまだ判明していないときに使われることが多く、結果の如何にかかわらず決断するときの潔さを表します。
「果断」の使い方
・『果断な処置で案件を次々に片付けていく』
・『積極化旦那姿勢が高く評価された』
・『社長の果断な態度については定評がある』
・『スピード経営をめざすなら果断であるべきだ』
「英断」と「果断」の違い
「英断」と「果断」の違いは「決断に対する評価」です。
「英断」は決断した内容やその態度が素晴らしく評価するべきものである場合に用いられる表現です。
「果断」は決断内容の評価にかかわらず積極的な姿勢を表します。
決断が優れているのが「英断」、優劣とは無関係に積極性を意味するのが「果断」です。
まとめ
「英断」と「果断」はどちらも人並み外れた決断力を表しますが意味合いはだいぶ異なります。
それぞれの言葉の意味を正しく理解し適切に使い分けてください。