巨大地震に関する解説で用いられる言葉に「直下型地震」と「内陸型地震」があります。
これらはどのような地震を指しているのでしょうか。
今回は、「直下型地震」と「内陸型地震」の違いについて解説します。
「直下型地震」とは?
「直下型地震」とは、「都市部など人が住む地域の直下を震源地とする地震」を指す言葉です。
「直下型地震」の直下とは「直接的なまっすぐ下」を意味します。
地震の場合は地表にあるものや人の居住によって被害が大きく変わることから「人が住んでいたり建物が密集していたりなど大きな被害が発生する可能性が高い場所のまっすぐ下が震源地となって発生する地震」を指して「直下型地震」と表現します。
「直下型地震」というのは相対的な言い方です。
ある地震の震源地が人の住んでいる地域の真下であるかどうかは偶然によって決まるものであり地震が狙って震源地を人の住む地域にぶつけているわけではありません。
発生した地震のうちたまたま震源地が被害の大きい地域の真下であるものを「直下型地震」と名づけて分類しているだけで都市の直下が震源地となるのは確率の問題です。
一般的に地震は震源地に近いほど揺れが強く被害も大きくなりますが直下型地震だからといって必ずしも甚大な被害が発生するわけではありません。
地震の強さは震源地の位置、エネルギーの大きさ、震源の深さで決まります。
震源地が都市の直下であっても地震の規模を表すマグニチュードが小さかったり震源が深く地表まで伝わる揺れが小さかったりすれば「直下型地震」であって小さな被害でおさまります。
「直下型地震」の使い方
・『直下型地震を想定して訓練を実施する』
・『この辺りは直下型地震の可能性が高い地域だと言われている』
・『直下型地震でライフラインが寸断されると復旧には時間がかかる』
・『国の防災計画では直下型地震についても想定されている』
「内陸型地震」とは?
「内陸型地震」とは、「海底ではなく内陸部を震源地とする地震」を指す言葉です。
地球の表面は約7割を海が占めています。
震源地が地球上でランダムに発生すると想定しても全体の7割は震源地が海底になる計算です。
実際の地震は活断層と呼ばれるプレートの境界面に震源地が集中するのですが、活断層の多くは海底を通っていることから発生している地震の大半は海底を震源地としています。
「内陸型地震」は震源地が内陸部にある地震を指す言葉です。
海底に比べて震源地が人の生活圏に近くなる可能性が高く、一般的に大きな被害が出やすいとされています。
「内陸型地震」の使い方
・『内陸型地震に備えて観測計画を立案する』
・『先ほどの地震は内陸型地震だったようだ』
・『日本は世界的に見ても特に内陸型地震が起きやすい地域である』
・『将来的に内陸型地震が発生するのはほぼ確実だと言われている』
「直下型地震」と「内陸型地震」の違い
「直下型地震」と「内陸型地震」の違いは「人の住む地域かどうか」です。
震源地が都市など人の住む地域の直下に当たる地震が「直下型地震」といい、内陸部を震源地とする地震を「内陸型地震」表現します。
人が住むのは当然内陸部なので「直下型地震」は「内陸型地震」のうち震源地が居住地域の真下だったものを指す言葉です。
まとめ
「直下型地震」と「内陸型地震」は一部意味がかぶっています。
それぞれの言葉がどのような地震を指すのか、本来の意味に注目して正しく理解してください。