この記事では、「如実」と「顕著」の違いを分かりやすく説明していきます。
よく似た言葉の、正しい線引きを学んでいきましょう。
「如実」とは?
如実(にょじつ)とは、その通りであること。
データの裏付けが取れたり、耳にしていた話が真実だったときに使います。
「まさに・たしかに」をあらわす言葉が如実です。
「如実」という熟語を分解していくと「如」と「実」という2つの漢字が出てきます。
「如」という語は「ごとし」のこと。
「全くもってその通りだ」というニュアンスがあります。
そして「実」は「実質・実体」をあらわします。
実体とは、その物の中心部分を伝えるものです。
そのため「如実」で「真実がわかる・本質をとらえる」という意味になります。
本当のことが分かることを「如実に現れる」といいます。
「顕著」とは?
顕著(けんちょ)とは、際立っていること。
他のものと比べてみても、とりわけ目立っていることです。
効果が目で見て分かるくらい出てきたとき、その傾向がとくに著しい場合に用いていきます。
そもそも「顕著」という熟語には「顕」と「著」という2つの漢字が交わっています。
「顕」には「あらわ」という訳があります。
隠していなくて、はっきり分かるもの。
誰の目にも明らかなことです。
そして「著」には「目立つ」という訳があります。
そのため火を見るよりも明らかなこと、疑いの余地はないものに「顕著」は用いられています。
夜空に光る月や星のように、くっきりはっきり見えるものが「顕著」です。
「如実」と「顕著」の違い
どちらも良く似た言い回しです。
「如実」と「顕著」の違いを、分かりやすく解説します。
・事実を伝える「如実」
「如実」と「顕著」は少しずつ、その内容が異なっています。
「如実」を使った四字熟語に「如実知見(にょじつちけん)」があります。
これは周りに流されずに、真実だけを見抜くという意味があります。
そのため「如実」の本来の意味は「事実の通り・実際の通り」です。
例文としては「日本の格差社会を如実にあらわしている」などがあります。
一方で「顕著」は、あらわになっていること。
くっきり際立っている様子です。
そのため「地方への移住が顕著にあらわれている」と用います。
どちらも「あらわれる」の言葉と共に使うことが多いですが、その訳が少しずつ異なっているので注意しておきましょう。
「如実」は事実の通りであること。
「顕著」はその傾向が際立っていて、はっきり分かることです。
勢いが著しい、激しい場合にも「顕著」は選ばれています。
まとめ
「如実」と「顕著」の違いを分かりやすくお伝えしました。
「如実」とは額面通りであること。
事実をたしかに伝えているものです。
真実を伝える表現になります。
そして「顕著」とは、際立っていること。
はっきりと分かるくらい、その傾向が目立っているものです。
どちらも「表面化する」という共通の訳がありますが、大きな差があります。
覚えておきましょう。