「寄贈」と「寄託」の違いとは?分かりやすく解釈

「寄贈」と「寄託」の違い言葉・カタカナ語・言語

「寄贈」「寄託」は表記や読み方が似ている言葉ですが、意味が異なるため混同しないよう注意が必要です。

この記事では、「寄贈」「寄託」の違いを分かりやすく説明していきます。

「寄贈」とは?

「寄贈」とは?

「寄贈」「物品を贈ること」を意味し、特に「図書館や博物館など公共性の高い施設に品物を贈ること」という意味で使用されています。

また、「文化財などの所有権を無償で所有者から博物館などの機関に譲ること」という意味も持ち合わせています。

「寄託」とは?

「寄託」とは?

「寄託」「物品などを他者に預けて保管などを依頼すること」もしくは「他者に特定の物品の管理を依頼して相手がその物品を受け取ることで成立する契約」を意味します。

また、「文化財などの所有権を所有者にとどめた状態で博物館などでの展示や保管をおこなうこと」という意味も持っています。

「寄贈」と「寄託」の違い

「寄贈」と「寄託」の違い

「寄贈」「寄託」にはそれぞれ意味がありますが、両者が比較されるのは個人や法人が所有する文化財などを博物館などの公共機関に提供する場合で、このケースにおける双方の大きな違いは「所有権の移譲」です。

「寄贈」「文化財などの所有者がその所有権を博物館などの提供先に無償で譲ること」を意味し、文化財と共に所有権についても所有者から博物館などに移譲されます。

一方、「寄託」「文化財などの所有者が所有権を保持したまま提供先での展示や管理をおこなう」ことを意味し、物品は提供するが所有権は所有者が持った状態を指します。

「寄贈」と比較すると、「寄託」「所有権を持った状態で文化財を博物館などの機関に貸し出している」イメージです。

「寄贈」の例文

「寄贈」の例文

「寄贈」は主に「物品などを公共性の高い機関に贈ること」を意味する言葉で、博物館などでは「文化財と所有権を無償で移譲する」という意味で使用されています。

名詞のため「~の寄贈」「寄贈のお願い」といった使われ方をしますが、「寄贈する」のように動詞的に用いられることもあります。

・『父が生前集めていた画集を地元の美術館に寄贈することにした』
・『図書館のホームページに図書寄贈のお願いが掲載されていた』
・『子どもたちに沢山の衣服の寄贈をいただいた』

「寄託」の例文

「寄託」の例文

「寄託」「物品を他者に預けて保管してもらうこと」を意味するほか、「所有権を保持した状態で文化財などを博物館などに提供すること」を指します。

名詞に分類され、「~の寄託」「寄託の申し出」といった使われ方をする以外に、「寄託する」など動詞的に使われる例もあります。

・『博物館に祖母の遺品を寄託することにしたのは、彼女が大事にしていた文化財をより良い環境で維持したいと思ったからだ』
・『多くの博物館や美術館では、随時市民から寄託の申し出を受け付けている』
・『寄託品の所有者に関しては、名前を公表することも匿名とすることも可能です』

まとめ

まとめ

「寄贈」「寄託」は一見同じような意味を持つと捉えられがちですが、「所有権がどこに属するか」に違いがあることが分かります。

両者の違いを学んで、適切な場面で使い分けましょう。

ぜひ語彙力アップの参考にしてください。