この記事では、「搾取」と「収奪」の違いを分かりやすく説明していきます。
「搾取」とは?
「搾取」とは優位的立場を利用して、労働者が実際に働いた成果に対し十分な報酬を与えず、労働者が得るべきであった利得を侵害し、利益を奪うことです。
本来は動物の乳や果汁を搾り取る事を指す言葉でしたが、それから転じて他者、特に抵抗できない立場的な弱者から利益を搾り取ることを指すようになりました。
また現代では大人という優位な立場で子供という弱者を食い物にする性的「搾取」のように、報酬を与えているかどうかに関わらず、優位な立場を悪用して相手の権利を侵害すること自体を「搾取」と呼ぶことも増えています。
ですが通常人に対する「搾取」という場合、自分が得をするために相手へは不当に安い報酬しか与えず、労働力や利益を対価以上に奪うことを指す言葉です。
「収奪」とは?
「収奪」とは権力を持っているものが、相手のものを強制的に取り上げて奪うことです。
権力を持っていると言うのは、奪うもの奪われるものの所有権を持っている事を指すのではなく、逆に所有権はないものの、社会的権力をかさに抵抗を許さず、不当に自分の物にしてしまうことを指します。
「収奪」されるものはただの金銭だけに限らず、食糧や道具、金銭的価値のある貴重品のような物品であったり、建物や土地といった不動産が「収奪」されたケースもあります。
「収奪」は自分が所属している国や組織からされることもありますが、歴史上いくつかあった植民地化のように、自分が所属しているものとは異なる国やコミュニティによる「収奪」もあり、直接的な上位者によるものとは限りません。
「搾取」と「収奪」の違い
「搾取」と「収奪」の違いを、分かりやすく解説します。
「搾取」は正当で十分な対価を支払わずに対価以上の労働力や成果物を得ることで、「収奪」は強い権力を持つ側が権力的に弱い相手から強制的になにかを奪い取ることです。
「搾取」の場合はたとえそれが不当に安いとしても、相手に対して一応の報酬を与えてはいますが、「収奪」の場合は一方的に奪い、取り上げるだけであり、その対価や報酬は与えません。
また多くの場合、「搾取」は一度だけではなく継続して不当に安い対価で利得を奪い続けますが、「収奪」の場合はその時取り上げられたことだけを指します。
「搾取」が続くという場合、一度起こった「搾取」が途切れないで続いているという意味です。
一方「収奪」が続くと言う場合、一度起こった「収奪」行為は終わったものの、それと同じように同じ物を奪われることが何度も起きているという意味になります。
まとめ
「搾取」と「収奪」も一方的に不利益を押し付けているという点では同じですが、不十分でも対価が支払われているかや、継続的か一度だけの行為かに違いがあります。
どちらも止めさせるには別の権力による介入が必要ですが、「搾取」と「収奪」をしっかり区別しないと介入も難しいので、違いは十分理解するべきです。