うっそうと木が茂っている場所を表す言葉に「樹海」と「森」があります。
この二つの言葉、どのような基準で使い分けられているのでしょうか。
今回は、「樹海」と「森」の違いについて解説します。
「樹海」とは?
「樹海」とは、「大海原が広がるかのごとく大きく広がって樹木が生い茂っている場所」を指す言葉です。
一般的に「樹海」という言葉は「並外れて木が生い茂っている広大な場所」に対して使われます。
大きいことや広いことを例えて「海」と表現することがありますが「樹海」という言葉も「広い場所に沢山の樹木が生えている様子」を海に例えています。
「樹海」を空から見下ろすとまるで海であるかのように果てしなく広がっています。
見た目にも緑の海であるようにみえるだけでなく侵入後に方角や現在地を見失い飲み込まれてしまうと簡単には引き返せず命の危険さえ感じられるところも海に似ています。
どの程度の広さを「樹海」とするのかについて厳密な定義はありません。
基本的には人の管理が行き届かず探検が困難であるほど広く樹木が生えているエリアのことを「樹海」と呼んでいます。
日本にあるものでは富士山の麓に広がる青木ヶ原樹海が有名です。
「樹海」の使い方
・『山の麓に樹海が広がっている』
・『山頂からは樹海が広がる絶景が楽しめる』
・『ろくな装備もなしに樹海に入るのは危険な行為だ』
・『樹海にはまだ知られていない未発見の新種がいる可能性が高い』
「森」とは?
「森」とは、「樹木が生い茂っていて人の手による管理が十分になされていない場所」を意味する言葉です。
一般的には「気が密集して生えている自然の場所」のことを「森」といいます。
よく似た言葉として「林」がありますが「林」が「人の手によって木が植えられている管理地」を意味するのに対し、「森」は「自然状態で樹木が密集して生えている手付かずの場所」を指すという違いがあります。
言葉の由来は樹木が集まって高くなっている様子を表す「盛る」からきています。
樹木がたくさん生えていてこんもりと盛り上がっている様子が「森」の由来なのである程度背の高い木々が生えている場所を指すのが本来の意味合いです。
「森」の使い方
・『森のなかで食べられる植物を探す』
・『森には野生動物がたくさん住んでいる』
・『神社の周りには森が広がっている』
・『生態調査のために森に入っていく』
「樹海」と「森」の違い
「樹海」と「森」の違いは「規模」です。
「樹海」はまるで海であるかのように大きく広く広がる樹木の密集地帯を指す言葉です。
奥深くまで十分に調査されていないことが多く、うかつに踏み入れば遭難する可能性がある命の危険を伴うような未開の場所をさして使われる表現です。
「森」は自然状態で樹木がたくさん生えている場所を指す言葉です。
ある程度調査や管理など人の手が入っていることもありますが基本的には自然そのままの姿が保たれている場所を指します。
樹木の密集地帯の中でも並外れて規模が大きく容易には踏み込めない場所が「樹海」、さまざまな規模できちんと準備を整えれば調査や管理が可能な場所が「森」という違いで区別されます。
まとめ
「樹海」と「森」はどちらも似たような見た目ですが規模や状況で区別されています。
慣習や伝統によって呼び方が決まることも多いので見た目だけで判断しないでください。