似たような意味で使われる言葉として「醍醐味」と「やりがい」がありますが、このふたつはどのような違いで区別されているのでしょうか。
今回は、「醍醐味」と「やりがい」の違いについて解説します。
「醍醐味」とは?
「醍醐味」とは、「物事において最も楽しみの大きい部分」を指す言葉です。
「醍醐味」の「醍醐」とは仏教用語で乳製品を発行させた食物を指す言葉です。
今でいうところのチーズのような食べ物のことで、非常に美味で口にできる食べ物の中では最上級の美味しさであることから「醍醐味」は「最も優れた味」という意味で使われるようになりました。
さらにそこから転じて「物事の一番味わい深いところ」という食べ物以外にも使う用法が広まり、現在では「物事の一番魅力的な部分」という意味で使われるようになっています。
「醍醐味」という表現は「いくつかの楽しみや魅力があるうちの一番のもの」という「ナンバーワン」の意味合いを含んでいます。
魅力や楽しみが一つだけのものにも使われますがほとんどは「いくつもある魅力のうち一番楽しみが大きいもの」を指して「醍醐味」と表現します。
内容に厳密な決まりはありませんがちょっと試して感じられるような簡単な楽しみではなく「何度やっても損なわれず知れば知るほど好きになっていくような奥深さを持つ魅力」に対して使われることが多い表現です。
「醍醐味」の使い方
・『新鮮な魚をその場で塩焼きにして食べるのが渓流釣りの醍醐味である』
・『麻雀の醍醐味を知らないなんて人生の損失というしかない』
・『一度キャンプの醍醐味を味わったら絶対にハマるに決まっている』
・『野球の醍醐味は白熱した勝負の中に見られる心理戦だ』
「やりがい」とは?
「やりがい」とは、「仕事や作業などをやることで得られる幸福感」を意味する言葉です。
「やりがい」は「そのものをやる価値があると決定づけているもの」を指しています。
それをやると楽しかったり報酬が得られたり人から感謝されたりなど「やることによって生じる意義や利益」を「やりがい」と表現します。
「やりがい」の漢字表記は「遣り甲斐」です。
「遣り」は「なにかをすること」を意味し、「甲斐」には「することで得られる結果」「苦労に対する対価」という意味があります。
「やった結果として得られるもの」というのが元々の「やりがい」の意味にですが、現在は値打ちや価値などもっと直接的な「やることのメリット」という意味合いで使う用法が主流です。
「やりがい」の使い方
・『仕事にやりがいが感じられないと相談された』
・『給料よりもやりがいを優先して仕事を探したい』
・『がんばっても苦労が報われることのないやりがいのない仕事では心が折れてしまうのも当然だ』
・『やりがいがあるからといって低賃金を強いるのは間違っている』
「醍醐味」と「やりがい」の違い
「醍醐味」と「やりがい」はどちらも楽しみや価値を意味する言葉です。
ふたつの言葉の違いは「楽しみや価値の基準」です。
「醍醐味」は何らかの楽しみを持つあらゆる物事に対して使える表現で、価値や楽しみの中で一番上のものを示しています。
「やりがい」は具体的な動作を伴う仕事や作業に対して対価として発生する価値や対価を意味する言葉で、やった人の主観によって変化します。
まとめ
「醍醐味」と「やりがい」は似たような意味あいですが言葉の使われ方に大きな違いがあります。
どんな場面でどのように使うのかをよく考えてふさわしい言葉をチョイスしてください。