温室効果ガスの削減を目標とする京都議定書(正式名は気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書)を批准している国は192カ国ありますが、実際に数値目標を決めている国はあまりありません。
それでは、この「批准」とはどういう意味でしょうか。
また、同じような言葉である「締結」とはどう違うのでしょうか。
この記事では、「締結」と「批准」の違いを分かりやすく説明していきます。
「締結」とは?
「締結」とは、「ていけつ」と読み、「締」が「約束」とか「取り決め」という意味で、「結」が「結ぶ」という意味なので、合わせると「約束を結ぶ」という意味になる言葉です。
英語では「conclusion」が近いでしょう。
「批准」とは?
「批准」とは、「批」に「国の元首が承認する」という意味があり、「准」に「許可する」という意味があるので、合わせると「国際的な決め事を国の代表が確認して承認する」という意味になります。
「批准」は、日本においては内閣で決定され、国会での承認を得た後、最終的には天皇が認証することによって行われます。
「締結」と「批准」の違い
「締結」と「批准」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つは条約に同意するという意味で使われる言葉という部分では同じですが、大きな違いがあります。
それは使われるシチェーションです。
「締結」が一般的な契約や約束などの多くの対象に対して使う事ができるのに対して、「批准」は国際的な条約に関してしか使う事ができない言葉です。
さらに、国際条約での使用にフォーカスしてみても、大きな違いがあります。
通常はまず条約の条文に対して「署名」を行い(この段階ではまだ内容に同意してはいない)、その後、日本の場合は内閣で検討して承認すると「締結」を行うことになります。
その「締結」の方法の一つが「批准」です。
「批准」(最終的には天皇による承認)を行うことによって「締約」状態になり、内容に対する義務が生じることになります。
「締結」の例文
「締結」の例文は以下のようになります。
・『不動産の売買に関する契約を締結しました』
・『日本は1951年にサンフランシスコ条約を締結しました』
「批准」の例文
「批准」の例文は以下のようになります。
・『京都議定書を日本が批准したのは2005年でした』
・『条約を批准することで最終的な締結状態に移行します』
まとめ
この記事では、「締結」と「批准」の違いを、解説してきました。
序文で述べた京都議定書の話ですが、この中で日本に割り当てられた温室効果ガス排出量の削減目標は-6%でしたが、現時点でもマイナスには至っていません。
このように多くの国が参加している国際条約においては、それぞれの国の状況がまちまちであるばかりではなく、年月が経てばアメリカのように態度を変えてしてしまうこともあります。
これは実は他の条約などでもあることで、この辺りが国際条約の難しいところです。