「海老」と「蝦」はどちらも「えび」と読む言葉ですが、詳細な意味合いが異なるため使い分けされる場合があります。
この記事では、「海老」と「蝦」の違いを分かりやすく説明していきます。
「海老」とは?
「海老」は「十脚目長尾亜目に属する甲殻類の総称」を意味し、その中でも主として「海底を歩行する大型のエビ類」のことを指します。
「海老」の「老」には「老いる」や「老人」の意味があり、腰が曲って髭が長い姿を「海の老人」になぞらえて名付けられたといわれ、長寿のシンボル的な存在としても知られています。
「蝦」とは?
「蝦」も上記と同じく「十脚目長尾亜目に属する甲殻類の総称」を意味しますが、主に「水の中を遊泳する中型もしくは小型のエビ類」のことを示します。
「蝦」という字は中国から渡来し、「虫」には「動物」という意味があり、「?」には「外皮あるいは仮面をつける」という意味があります。
なお、「蝦」の文字を使った生き物の名称としては「蝦蛄(しゃこ)」や「蝦蟇(がま)」などがあります。
「海老」と「蝦」の違い
「海老」と「蝦」は双方とも「十脚目長尾亜目に属する甲殻類の総称」であり、いわゆる「エビ類」のことを指しますが、それぞれが持つ特徴に応じて使い分けされる場合があります。
「海老」は「海底を歩行する体長30cmから60cm程度の大型のエビ類」を指し、代表的な例として「伊勢海老」や「ロブスター」などが挙げられます。
食用として用いられることが多く、伊勢海老は刺身やフライ、ロブスターはボイルやローストといった調理方法で食されています。
一方、「蝦」は「水中を遊泳する体長4cmから20cm程度の中型もしくは小型のエビ類」を示し、相当する例としては「車蝦」や「甘蝦」、「桜蝦」、「ブラックタイガー」、「芝蝦」などがあります。
「蝦」の場合も食用に使われることが多く、車蝦は寿司や天ぷら、甘蝦は寿司や唐揚げ、桜蝦は干しエビやかき揚げ、ブラックタイガーは天ぷらやエビフライ、芝蝦はソテーや唐揚げなどに適しています。
このように「海老」と「蝦」には上記のような違いがありますが、実際は必ずしも両者を厳密に使い分ける必要はないと考えられています。
「蝦」の文字が常用漢字に含まれていないことや、「海老」の字の方が一般的で馴染み深いことから、「蝦」に該当するエビ類についても「蝦」ではなくポピュラーな「海老」の字が使われるケースが多くあります。
なお、日本語だけでなく英語においてもエビ類の使い分けがあり、「海老」に相当する歩行型の大型エビは“lobster”、遊泳型の中型エビは“prawn”、小型エビは“shrimp”と呼ばれています。
まとめ
「海老」と「蝦」はいわゆるエビ類のことを指し、それぞれの特徴に応じて書き分けされる場合があります。
実際はどのエビに対しても「海老」の字をあてるケースが多くみられますが、両者の違いを知ることで言葉や生き物についての知識が深まることでしょう。
ぜひ参考にしてください。