似たような意味で混同しやすい言葉に「後世」と「来世」があります。
この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「後世」と「来世」の違いについて解説します。
「後世」とは?
「後世」とは、「現代から見てさらに時が立った後の時代」を指す言葉です。
「後世」とは「後の世」を表す表現で具体的には「現代が過去として語られるくらいずっと後の時代」を意味します。
一般的には自分たちが一線を退くあるいは死んだ後など表舞台から消え去った後の世の中を指す言葉で「歴史的に一区切りがつけられるくらい時が経った後の時代」という意味合いで使われています。
どのくらいの時間がたてば「後世」に当たるかについては具体的な定義はありませんが少なくとも現在起きていることが歴史の1ページとして評価されるくらいの時間は必要です。
数年後くらいでは「後世」という表現を使うことはなく少なくとも数十年、数百年単位の未来を意味する言葉として用いられます。
基本的には「後世」という表現は歴史が長く続くことを前提とした言葉です。
体制や有り様は変わっていても人々が築く社会が未来でも残っていて世の中が継続しているなかでその次代に生きる人々が今と変わらないような考え方で生きていることを指して「後世」と表現します。
「後世」の使い方
・『現代では評価されないが後世ではきっと高く評価されるであろう芸術作品を購入する』
・『偉大な業績を後世に伝える』
・『新薬の発明で後世に名を残す』
・『後世に伝えるべき立派な文化遺産の保護活動に参加する』
「来世」とは?
「来世」とは、「現在の人生を終えた後に生まれ変わる次の人生」を意味する言葉です。
人は一生を終えた後に魂となり再び別の命を得て生まれ変わるという考え方を「輪廻転生」といいます。
死というものはあくまでも今回の人生が終わるだけであり大元の存在である魂は再び命を得て新しい人生を歩み出す、というのが輪廻転生の考え方です。
生きとし生けるものは皆現在の人生である現世のほかに生まれ変わる前の一生やこれから生まれ変わる後の一生がある、という生まれ変わりの考え方は仏教を中心に世界各国で見られる思想です。
「来世」とは輪廻転生における「次に生まれ変わる一生」を指す言葉です。
まだ見ぬ生まれ変わった後を指す言葉であり現在生きているものからすれば認識することすらできませんが、原生での行いによって来世が大きく変わるとされており無関係ではありません。
「来世」の使い方
・『来世ではまっとうな人生を送りたい』
・『無用な殺生をしたものは来世で不幸な目にあうとされている』
・『人の一生は十分経験したので来世は虫に生まれ変わりたい』
・『来世が何に生まれ変わるのか占ってもらう』
「後世」と「来世」の違い
「後世」が現在続いている時間のうちもっと後の時間を指すのに対し「来世」は生まれ変わった次の一生を指します。
「後世」の主観は現代を生きる人々の子孫など後の世を生きる人々ですが「来世」の主観は生まれ変わる本人です。
歴史的に後の時代を指すのが「後世」、生まれ変わった次の人生を指す言葉が「来世」という違いで区別されます。
まとめ
「後世」と「来世」は似ているようでまったく意味が違う言葉です。
取り違えると話が混ったく通じなくなってしまうので注意してください。