他人に託すことを意味する言葉に「預託」と「委託」があります。
この2つの言葉は具体的にどのような意味の違いがあるのでしょうか。
今回は、「預託」と「委託」の違いについて解説します。
「預託」とは?
「預託」とは、「自分の所有物や金銭を他人に預けて任せること」を意味する言葉です。
「預託」の「託」には「他人の力を頼みにし信頼して任せる」という意味があります。
「預託」とは「信じている人に預けて任せること」を意味する言葉であり自分の所有物や金銭など大切にしているものを手元から離し別の人に管理してもらうときに用いられる表現です。
株式投資の世界では所有する証券や債権などを証券会社に預けて管理してもらうことを指して「預託」と表現します。
投資家は保有する証券や債権を証券会社に預け入れる形で管理してもらい売買や事務手続きを代行してもらいますが、預けた証券や債権の取り扱いに関しては所有者である投資家の意思に基づいて行われます。
「預託」で相手に託されるのは「預かる」という保管行為のみであり預かったもの取り扱いに関しては元の所有者に権限が残っています。
「預託」の使い方
・『株券を証券会社に預託する』
・『預託された品物を大切に管理する』
・『預託するのにお金はかからない』
・『証券会社に預託されている株式も相続財産に含まれる』
「委託」とは?
「委託」とは、「仕事や作業の一部を他人に任せ代わりにやってもらうこと」を意味する言葉です。
「委託」では仕事や作業の実務だけではなく裁量権も一部認められます。
業務を「委託」する業務委託ではあらかじめ取り決められた範囲内で任された側が自由に判断し裁量権を行使できます。
例えば販売を「委託」された場合、陳列方法など具体的な販売のやり方については「委託」された側が裁量権の範囲内で自由に決められます。
責任が生じるのは「委託」において取り決められた手法や結果のみであり結果を出すための手段についてはある程度の範囲で自由が認められています。
「委託」の使い方
・『子会社に業務を委託する』
・『受付業務に就いているのはほとんどが委託先の派遣社員だ』
・『業務の一部を委託したが思うように成果がでない』
・『製造を委託していた工場が火事になってしまった』
「預託」と「委託」の違い
「預託」と「委託」の違いは「裁量権」です。
「預託」で相手に任されているのは預かることのみです。
やれるのは託された所有物や金銭を管理することのみで使ったり処分したりといった預かる以外の行為はできません。
「委託」はおおまかな内容のみが取り決められるのみで、どのように業務を達成するかなど具体的な手段ややり方については委託先の裁量において判断できます。
物品や個人情報など特定の対象を預けて任されるのが「預託」、業務や作業など結果を求められるものを任されるのが「委託」という違いでも区別されます。
まとめ
「預託」と「委託」はどちらも他人の力を頼って任せることを意味する言葉ですが具体的な内容は大きく違います。
相手に何をお願いするのか、どのような成果を求めるのかに注目してふさわしい表現はどちらなのかを判断してください。