犯罪心理学などで使われる「シリアルキラー」と「サイコパス」とは何を指す言葉なのでしょうか。
今回は、「シリアルキラー」と「サイコパス」の違いについて解説します。
「シリアルキラー」とは?
「シリアルキラー」とは、「連続殺人を行うような猟奇的な殺人犯」を意味する言葉です。
「シリアルキラー」の「シリアル」には「連続した」「一続きの」という意味があります。
製品に刻印される連続した製造番号をシリアルナンバーと言いますが、「シリアルキラー」は「シリアルナンバーを刻んで作られる量産品のように次々と殺人事件を繰り返し死体を増やす殺人者」という意味で使われる表現です。
「シリアルキラー」という言葉が用いられるのは「常人には到底理解できないような動機や手口に基づいて行わえる猟奇的な殺人犯」です。
連続して殺人を犯す犯人であっても恨みのある人間を次々に殺害したり実を守るためにやむなく殺人を重ねたりするような理解の余地があるケースではなく「人を殺すことそのもの快楽を覚えたり独自のルールや目的に基づいて非のない人間を殺害したりするような狂気じみた殺人犯」を指して「シリアルキラー」と呼びます。
具体的な定義や基準などはありませんが、基本的には金銭や怨恨ではなく心理的な充足感を満たすために繰り返される殺人事件の犯人が「シリアルキラー」です。
死体を必要以上に損傷するなど異常な手口も特徴のひとつです。
「シリアルキラー」の使い方
・『シリアルキラーについての研究論文を読む』
・『残忍な手口から見てシリアルキラーの犯行であると推測できる』
・『シリアルキラーによる猟奇的な犯行現場を目にしてしまい吐き気をもよおす』
・『警察の執念によりシリアルキラーの正体が突き止められた』
「サイコパス」とは?
「サイコパス」とは、「人として当然あるべき大切な感情の一部が欠落している心理的特徴を持つ人」を指す言葉です。
精神医学的には「サイコパス」は精神に見られる病的な性質の一種に分類されます。
「サイコパス」は普通の人なら持っているのが当たり前の感情を持ちあわせていません。
典型的な症例としては「他人の痛みが理解できない」というものです。
人が苦しんだり痛められたりすると多くの人は共感や同情といった感情を覚えます。
共感や同情などその人の立場に立って感情をトレースする作業は人として生きる上で重要なものですが、「サイコパス」と呼ばれる人達は他人の立場に立って考えるという作業ができません。
自分ができるのだから他人もできるはず、と当たり前のように考え他人が苦しんだり悩んだりしていてもその辛さに思いをはせられずまるで理解が及びません。
「サイコパス」の多くは独自の価値観や考えに強いこだわりを持ち社会のルールや決まりよりも自分なりの決め事を優先します。
感情の起伏も乏しく冷静沈着な判断を得意とする一方、人の心に寄り添う作業が極端に苦手です。
良く言えば自己と他者を明確に区別していますが、悪く言えば自分の感情や価値観を罪の意識なしに他人に押し付ける傾向が顕著です。
「サイコパス」の使い方
・『サイコパスによる犯罪が疑われる』
・『サイコパスと関わり合いになるのは避けるべきだ』
・『企業経営者の中にはサイコパス的な傾向を持つものが多い』
・『話し合いをしても一向に言葉が届かない様子にサイコパス的な薄ら寒さを感じた』
「シリアルキラー」と「サイコパス」の違い
「シリアルキラー」が連続殺人者を意味するのに対し「サイコパス」は犯罪者に多いとされる心理的な特徴を意味する言葉です。
「シリアルキラー」は明確な犯罪者ですが「サイコパス」は犯罪者に見られることが多いというだけでありそのことは犯罪ではありません。
人の痛みが理解できない「サイコパス」であるからといって「シリアルキラー」と同じに扱うのは明確な誤りです。
まとめ
「シリアルキラー」と「サイコパス」では意味する内容がまったく異なり混同するとトラブルの種になりかねません。
それぞれの意味を正しく理解してふさわしい言葉を選んでください。