「手元」と「手前」はよく似た意味を連想させる混同しやすい多義語の言葉ですが、「手元」と「手前」の意味・使い方の違いを正しく理解できているでしょうか?
この記事では、「手元」と「手前」の意味の違いを分かりやすく説明していきます。
「手元」の意味や使い方
「手元(てもと)」という言葉は、「自分の手が届くあたり・自分に近いところ」や「道具において手で握る柄(え)のような部分」、「手の動かし方・手の動き」などの意味を持っている多義語です。
「手元」にはさらに、「女房言葉のお手元を起源とする箸(はし)」、「生計を立てるためのお金」といった意味合いもあります。
「手元」の使い方は、「自分に近い場所」の意味で「手元にスマホを引き寄せました」などの文章で使えます。
「金づちの手元」のように「道具の握る部分」の意味で使用したり、「手元が狂ってミスをしました」のように「手の動き」を指して使ったりすることもできます。
「手前」の意味や使い方
「手前(てまえ)」という表現は、「自分の目の前」や「目標としているもののすぐ前」、「茶の湯(茶道)における作法・所作・点前」のことを意味しています。
また「手前」という表現には、「力量・腕前(お手前)」や「人が自分を見る目・他者に対する自分の体裁や面目」といった意味合いもあります。
「手前」の使い方は「手前のお茶を飲む」のように「自分の目の前」を指して使ったり、「手前の信号を直進してください」のように「目標物のすぐ前」を意味して使ったりします。
また「お手前を拝見」のような例文では「力量・腕前」の意味で使用することができ、「人の手前を考えて行動しなさい」などで「他人に対する自分の体裁」を指して使うことができます。
「手元」と「手前」の違い
「手元」と「手前」の意味の違いを、詳しく説明していきます。
「手元」という言葉は、「自分の手が届く周辺」や「道具において手で握る部分」、「手の動かし方」「女房言葉で箸(はし)」、「生計を立てるためのお金」などを意味しています。
「手前」という言葉には、「手元」にある「道具の握る部分・手の動き・食事のための箸」といった意味がないという違いを指摘できます。
反対に、「手元」には「手前」が持っている「力量や腕前(お手前)・目標とするものの前・人が見る目(体裁・立場)」といった意味合いを持っていないという違いもあります。
例えば、「目標物の前」の意味で「手前の信号を渡ってください」とはいいますが、「手元の信号を渡ってください」とは通常いうことができません。
「手元」を使った例文と意味を解釈
「手元」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「展覧会に出品するための油絵を制作していましたが、手元が狂って作品を台無しにしてしまいました」
この「手元」を使った例文は、「手元」の表現を、「手の動かし方を間違えて作品を台無しにしてしまった」という意味を持つ文章で使用しています。
「手前」を使った例文と意味を解釈
「手前」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。
「交差点の手前を左折してから、100メートルほどまっすぐ進んだところに私の経営するカフェがあります」
この「手前」を使った例文は、「手前」の表現を、「交差点(目標とするもの)の前を左折してから」という意味合いで使っています。
まとめ
「手元」と「手前」の意味の違いを分かりやすく説明しましたが、いかがだったでしょうか?
「手元」というのは、「自分の手が届くあたり・手の動かし方・道具の手で握る部分」などを意味しています。
それに対して、「手前」という言葉は「自分の目の前・自分に近いほう・他人に対する自分の体裁・腕前(実力)」などの意味を持っています。
「手元」と「手前」の意味の違いを詳しく調べたい時には、この記事の説明を確認してみてください。