「既存不適格建築物」と「違法建築物」の違いとは?分かりやすく解釈

「既存不適格建築物」と「違法建築物」の違い二語の違い

ルールに違反している建築物を指す言葉として「既存不適格建築物」「違法建築物」がありますがどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、「既存不適格建築物」「違法建築物」の違いについて解説します。

「既存不適格建築物」とは?

「既存不適格建築物」とは、「法令の改正などにより基準に不適格となった建築物」を意味する言葉です。

建築物には大きさや構造、間取りなどさまざまルールが法律により定められています。

土地面積に対する建物の割合や使える建材、耐震性など建築物は人の生命や財産の安全に直結するものなので時代に合わせてルールも頻繁に改正されます。

建築物が立てられるときは当然その次代の基準に合わせて設計され作り上げられます。

建築確認などの手順により法令に合致していると認められることで初めて建築物としての使用が可能になりますが、基準となるルールを定める法令そのものが改正されてしまうと既に完成している建物の中には基準に合わなくなってしまうものが発生します。

「既存不適格建築物」とはそのような「完成後に法令の改正などによって基準そのものが変わってしまい現行の基準に合わなくなってしまった建築物」をあらわす言葉です。

例えば「土地面積の8割まで建物面積が認められる」というルールに従って立てられた建築物はその後法令が「土地面積の6割まで建物面積が認められる」と改正されてしまうと不適格になってしまいます。

「既存不適格建築物」は基本的に建物を壊して基準に合うよう修正する義務はありませんが、建て替えやリフォーム時には新しい基準が適用されるため昔通りの建築物をそのまま使えない可能性が発生します。

「既存不適格建築物」の使い方

・『法令の改正により自宅が既存不適格建築物になってしまった』
・『古い建物ほど既存不適格建築物である可能性は高い』
・『既存不適格建築物を中古で購入する場合は注意が必要だ』
・『この家は既存不適格建築物なので再建築が認められない』

「違法建築物」とは?

「違法建築物」とは、「法令に違反した状態で立てられた建築物」を意味する言葉です。

「違法建築物」「違法であることがわかっていながら工事が実行され完成した建築物」を指します。

面積や構造などが法令に違反していながらチェックをすり抜けて建築確認をとるのは簡単ではありませんが増改築ではしばしば発生します。

最初から建築確認申請を行わない悪質な手口で「違法建築物」が建てられることもあります。

「違法建築物」の使い方

・『この家は建ぺい率を大幅に超える違法建築物である』
・『延べ床面積が基準を超えているこのビルは違法建築物だ』
・『ルールを無視した増改築により違法建築物になってしまう』
・『増築部分を取り壊したので違法建築物ではなくなった』

「既存不適格建築物」と「違法建築物」の違い

「既存不適格建築物」「違法建築物」の違いは「完成時の違法性」です。

「既存不適格建築物」は完成後に法令改正で違法状態になってしまった建築物なので完成時は合法です。

「違法建築物」は完成時に既に法令に違反した違法状態にある建物を指します。

建てた後に法令に合致しなくなったのが「既存不適格建築物」、工事の時点で法令に合致していなかったのが「違法建築物」という違いで区別されます。

まとめ

同じ法令違反状態にある建築物でも「既存不適格建築物」「違法建築物」では意味がまったく異なります。

建て替えやリフォームにも影響する重要な問題なので中古物件を購入するときはしっかり確認してください。